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Catalent, Inc.CTLT
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事業内容
Catalent, Inc.は医薬品やバイオ医薬品、細胞・遺伝子治療、ワクチン、消費者向けヘルスケア製品の研究開発から臨床供給、商業生産まで一貫して請け負う受託開発・製造(CDMO)企業です。同社は経口剤、注射剤、吸入剤など幅広い剤形に対応し、世界約50拠点で大規模な生産能力を維持して年間で数十億単位の製剤を供給しています。
同社はバイエル、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、グラクソスミスクライン、ノボノルディスク、モデルナ、ファイザーなどの大手製薬・バイオ企業を主要顧客に持ち、上位メーカーとの長期契約や継続的な供給関係が収益の柱になっています。受託開発の契約金や臨床・商業生産の委託料が安定的な収入源となり、小規模なバイオ企業向けの開発支援も重要な収益源です。
同社は事業を大まかにバイオロジクス領域と医薬品・コンシューマー領域に分け、バイオ側ではタンパク質生産やウイルスベクター、プラスミドDNA、細胞療法向けの製造と充填技術を強化しています。医薬品・消費者向けではソフトジェルや経口崩壊錠(Zydis)、グミやソフトチュー形式、制御放出や吸入製剤など多様な製剤技術を揃えています。加えて、同社は多数の特許と独自技術を保有し、生産設備や技術への投資を通じて顧客の新製品の市場投入を支援しています。
経営方針
同社は「ライフサイエンス業界の主要な開発・商業パートナーになる」ことを成長戦略の中心に据えています。具体的には、従来の製剤や消費者向け製品に加え、タンパク質医薬や細胞・遺伝子治療などの高成長分野に資本を集中させており、2020年度以降で約36億ドル以上を生物医薬事業に投じ、そのうち約18億ドルを買収に充ててきました。経営は規模と収益性の両面での拡大を重視しており、製造量は年間約700億単位投与量、顧客基盤は上位製薬・バイオ大手の多く(上位100社のうち医薬品系で88社、バイオで82社)と取引することで安定的な収益源の確保を目指しています。なお、2024年に合意した買収案では株主に1株あたり63.50ドルの現金を提示し、企業価値は約165億ドルと評価されています。
同社は差別化の柱として、高度な技術ポートフォリオと長期的な顧客関係を重視しています。具体的な投資分野は、タンパク質製造の細胞株最適化、ウイルスベクターを用いる遺伝子治療、プラスミドDNA(遺伝子素材)の製造、注射剤の充填・仕上げ工程、ならびに消費者向けのグミやソフトジェルなどの製品形態です。技術面では約2,100件の特許・出願、約3,100名の研究者・技術者、約8,500名の製造従業員を擁し、約1,500件の開発プログラムや1,200を超える細胞株での実績を基に、顧客の製品化を速めるサービス提供を行っています。これにより、同社は単なる受託製造業者ではなく、規制申請にも組み込まれる長期的な供給パートナーとしての位置付けを強めています。
新市場開拓と事業拡大について、同社は買収と設備投資を主要な手段としています。近年はMetrics(約4.74億ドル)、英オックスフォードのワクチン関連施設(約1.34億ドル)、ニュージャージーのセルセラピー製造施設(約4,500万ドル)、および消費者向け製品強化のためのBettera買収などを実行し、地理的には約50拠点を四大陸で展開しています。加えて、米国ケンタッキー州ウィンチェスターでの制御放出製剤能力拡大など、特定製品群の商業キャパシティ増強に資本を投入しています。経営は同時にコスト構造の改善にも取り組んでおり、事業の合理化や一部拠点の集約・閉鎖による効率化も実施しています。
技術革新に関しては、同社は研究開発と製造技術の垂直統合で差を付ける方針を採っています。具体的には、細胞株の高生産化技術(GPEx系)、アデノ随伴ウイルスを使った遺伝子運搬、人工多能性幹細胞(iPSC)関連の開発、プラスミドDNA製造、さらに抗体に薬を結合して標的に届ける次世代治療(ADC)技術のSMARTagなど、多様なプラットフォームを展開しています。これらは「顧客の新薬をより早く市場に出す」ための実務的な投資であり、同社はここ数年で十数件の新技術プラットフォームを立ち上げ、品質管理面でも年間約700件の監査を行うなど規制対応を強化していることから、技術と品質で他社と差別化する戦略を進めています。