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CISCO SYSTEMS, INC.CSCO
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事業内容
CISCO SYSTEMS, INC.は企業や通信事業者向けにネットワーク機器とそれを動かすソフトウェア、運用サービスを一体で提供する企業です。拠点やデータセンターをつなぐ機器の販売に加え、ネットワークの可視化・安全対策・会議やコラボレーションのためのソリューションなどを揃え、近年はソフトウェア定額サービスやAIの機能を組み込む取り組みを進めています。
同社の顧客層は大企業、中小企業、公共機関、そして通信事業者やクラウド事業者まで幅広く、製品は自社の営業部隊と多数のチャネルパートナーを通じて販売しています。収益は従来の機器販売に加え、ソフトウェアのサブスクリプション、保守やコンサルティングといった継続的なサービス収入、顧客向けの資金調達や導入支援から成り立っています。
事業は大きくネットワーキング、セキュリティ、コラボレーション、観測・分析(オブザーバビリティ)といった分野に分かれています。各分野でハードウェア、ソフトウェア、24時間体制の技術サポートやプロフェッショナルサービスを組み合わせたソリューションを提供し、顧客の運用負荷軽減やダウンタイム防止、運用の自動化を目指しています。
経営方針
同社は安定的かつ予測可能な収益への転換を成長の主軸に据えています。2025会計年度の売上高は約567億ドル(前年比約5%増)で、ソフトウェア売上は約223億ドルと前年から21%増、サブスクリプション収入は15%増と伸長しており、定期課金型の収入拡大で成長を図っています。株主還元についても積極的で、自己株式買い取り枠の残りは約142億ドル、四半期配当は1株当たり0.41ドルと、キャッシュリターンを並行して確保する方針です。
同社は研究開発と営業・サービスへの重点投資で差別化を図っています。人工知能(AI)やクラウド、サイバーセキュリティを「重点分野」と位置づけ、研究開発費は2025会計年度で約93億ドル(売上比で約16%)に達しており、営業・マーケティング費用も約110億ドルと高水準です。競合との差異化は単なる製品提供ではなく、ネットワーク、セキュリティ、コラボレーション、可観測性(障害や性能を可視化する領域)を統合し、AIを組み込んだ運用自動化や顧客が望む形でのサービス提供にあります。また、顧客向けの資金調達やプロフェッショナルサービスの強化を競争優位に活用しています。
新市場開拓と事業拡大は買収とチャネル戦略で進めています。代表的な大型買収として2024年に約270.9億ドルで完了したSplunkは、可観測性とセキュリティ分析領域への本格参入を加速させ、2025年度の業績にも寄与しました。チャネル販売と直販の混合モデルを維持し、約2.56万人の営業・マーケティング人員を通じて企業・公共・通信事業者向けに展開しています。既存の契約残高(繰延収益)は約288億ドル、未請求の契約債権が約32億ドルあることから、サブスクリプションを中心とした収益のストック化が進んでいる点も事業拡大の基盤です。一方で資源配分の見直しとして、世界労働力の約7%を対象とするリストラを発表し、前提として約10億ドルの一時費用を見込むなど、効率化と成長投資の両立を図っています。
技術革新への取り組みでは、製品群へのAI統合と提供形態の簡素化が中核です。同社は製品をより緊密に連携させ、運用や管理の自動化で顧客の総所有コストを下げることを目指しており、そのためのエンジニアリング投資や人材獲得、必要な技術の買収を継続しています。買収に伴う無形資産の償却やのれん計上は費用面で影響を及ぼしており(買収関連の無形資産償却は合計で約22.0億ドルに増加)、同社自身も投資効果が後倒しになるリスクを明示しています。投資は短期的にはコスト先行となる可能性があるものの、AI・クラウド・セキュリティ領域での技術優位と定期収入比率の向上を通じて、中長期的な利益成長を実現することを目指しています。