- 米国企業
- Criteo S.A.
Criteo S.A.CRTO
事業内容
Criteo S.A.は、オンラインで買い物をする消費者に対して商品を推薦したり、購買につながる広告を配信したりするデジタル広告プラットフォームを運営しています。同社は小売業者のサイトやアプリと深く連携し、個々の購買意図に応じて最適な商品広告を表示するAI技術を核にサービスを展開しています。
同社の主要な顧客は消費財ブランド、広告代理店、小売業者やマーディアオーナーで、収益は広告掲載手数料や小売パートナーからの広告収入が中心です。小売側には在庫や購買データへのアクセスを提供する代わりに複数年契約や独占的な取り扱いを求めることが多く、ブランド側からの広告予算が拡大するほど両者にとって価値が高まるネットワーク効果が働きます。
事業は大きく小売メディア、コマース成長支援、成果型広告の三領域で展開しています。小売メディアでは小売側の広告在庫をマネタイズしてブランドに販促機会を提供し、コマース成長支援では商品単位の販売データを活用した計測や最適化を行い、成果型広告では個別ユーザーへのパーソナライズ配信で購買に直結する効果を狙っています。
経営方針
同社はCommerce Mediaプラットフォームの拡大を成長の中心戦略に据えています。2024年の連結売上高は約19.33億ドルで、全体では前年から約1%減少したものの、為替の影響を除くと横ばいでした。中でも小売り向け広告サービス(Retail Media)は2.58億ドルと前年の2.09億ドルから約23.6%成長しており、同社はこの分野で広告予算の取り込み拡大を目指しています。経営効率の改善も進み、2024年の調整後EBITDAは3.90億ドル(マージン約35%)、当期純利益は1.147億ドルと大幅に改善しており、収益性を確保しながら成長投資を行う方針です。
重点投資分野は小売りメディアと人工知能(AI)を活用した広告最適化で、同社はここに資源を集中しています。差別化の源泉は小売りの購買データや商品単位(SKU)での計測能力で、2024年にRetail Mediaの計測でMRC認定を取得するなど、販売結果と広告効果を「商品の販売」に結びつけて示せる点を強調しています。日次アクティブユーザー約7.2億人、顧客が取引する年間オンライン売上高の対象は1兆ドル相当、同社が代行したメディア予算は約43億ドル、配信した広告は2兆回に上るなど、大規模なデータと配信基盤を活用してブランドや小売業者に対する優位性を築いています。
新市場開拓や事業拡大では、グローバルな展開と顧客層の多様化を進めています。108カ国で事業を展開し、23拠点で直接運営する体制を持つ同社は、従来の小売や旅行に加え消費財ブランドや中堅市場の開拓に注力し、広告代理店経由の取り扱い(Retail Mediaで約30%、Performance Mediaで約32%)を拡大することでより大きな広告予算にアクセスすることを目指しています。加えて、買収や提携による補完も継続的に模索しており、株式買戻し枠を2025年1月に最大8.05億ドルへ引き上げるなど資本政策も柔軟に運用し、従業員持株や将来のM&Aに備える方針です。
技術革新への取り組みは同社戦略の中核であり、プライバシーに配慮したデータ活用とAIの高度化を同時に推進しています。ブラウザやプラットフォーム側の仕様変更で計測が難しくなる中、第三者Cookieに依存しない「プライバシー対応型の識別技術(アドレッサビリティ)」を構築し、独自のアルゴリズムで購買意図を予測して配信精度を高めています。また、Iponwebの買収統合を完了するなど技術リソースを強化し、研究開発への投資で広告配信の効率化や運用の自動化を進め、顧客への価値提供を高めることを目指しています。