Salesforce, Inc.CRM

時価総額
$2506.9億
PER
企業向けクラウド型CRM・SaaSの最大手。AI内蔵の営業・マーケティング・カスタマーサービス統合プラットフォームを展開。2024年11月にデータ保護企業を約21.4億ドルで買収、データ管理企業を3.74億ドルで買収。世界各地で展開。

ランドスケープPowered by 会社四季報オンライン

企業概況
202文字)
業績概況
137文字)
テーマ
1項目)
ブランド
3項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

Salesforce, Inc.はクラウド型の顧客管理(CRM)プラットフォームを中核に、営業・顧客対応・マーケティング・コマースなどの業務を一元化するソフトウエアとサービスを展開する企業です。同社は顧客データを中央で結びつけ、AIを活用して営業やサポートの効率化や顧客体験の高度化を図っています。

同社の主要な収益は定期的な利用料とサポート契約で構成され、導入支援や研修、プレミアムサポートといった有償サービスも収益源になっています。顧客は中小企業から大企業まで幅広く、単一顧客が売上の大部分を占めることはなく収益は比較的分散しています。

事業は大きく営業支援、カスタマーサービス、マーケティング自動化、オンライン販売、データ分析・可視化、プラットフォームとアプリ市場の運営に分かれます。同社はAIや低コード開発ツール、グローバル向けクラウド基盤(Hyperforce)への投資や買収・戦略的出資を通じて機能拡張と市場拡大を進めています。

経営方針

同社は売上拡大と株主還元の両立を成長の柱に据えています。具体的には、取締役会は最大300億ドルの自社株買い枠を承認しており(2025年1月31日時点で約106億ドルの残余枠があると報告)、2025会計年度第4四半期には約7300万ドル規模の買付を実施しました。また、2025会計年度には四半期ごとに1株当たり0.40ドルの定期配当を導入し、1回当たり約3.88億ドルを支払うなど、配当と自社株買いを通じた資本効率の向上を目指しています。同社はこれらの施策により、株主価値の最大化と持続的な利益成長の両立を図っています。

同社は製品差別化のために「一体型でAIを深く組み込んだプラットフォーム」を武器としています。具体的には、顧客データを一元化して予測や自動化を行うData Cloudや、業務の自動化を支援するAgentforce、グローバルでのデータ所在をコントロールできるHyperforceなどへの重点投資により、顧客の業務プロセスに深く組み込まれることを狙っています。加えて、中小企業向けのStarter Suiteやローコード/ノーコードの開発ツール、マーケットプレイスと何百万人もの開発者コミュニティを活用することで、機能の豊富さと導入のしやすさを両立させ、競合との差別化を図っています。

新市場開拓と事業拡大では、買収と戦略的投資を積極活用しています。2024年11月にOwn Dataを約21.43億ドルで買収(うち現金約19.31億ドル)、Zoominを約3.74億ドルで買収、Spiffの買収などを通じてデータ保護やデータ管理機能を強化し、のれんや無形資産が増加していることが示されています。また、約400社に及ぶ戦略的投資ポートフォリオ(簿価約49億ドル)を有しており、必要に応じて自社のバランスシート(現金・借入)を活用してM&Aや投資で領域を広げる方針です。同社は国際的な販売網や業種別ソリューションの拡大を通じて、既存顧客へのクロスセルや新規地域への浸透を狙っています。

技術革新への取り組みは同社戦略の中核で、エンタープライズ向けの信頼性・安全性を担保しつつAIを業務の中に組み込むことに注力しています。社内外のインフラ投資やシステム更新を継続し、可用性やセキュリティを強化するとともに、生成系AIやエージェント型AIを製品群に統合して業務自動化や生産性向上を支援しています。また、事業拡大に伴う人材・運用基盤のスケールに対応するため、人材育成・内部システム改善・クラウド基盤の拡充に投資を続け、長期的な技術競争力の維持を目指しています。