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- CATALYST PHARMACEUTICALS, INC.
CATALYST PHARMACEUTICALS, INC.CPRX
事業内容
Catalyst Pharmaceuticals, Inc.は希少な神経筋疾患や神経疾患向けの医薬品の開発と商業化を行う企業です。主力製品にはランバート=イートン筋無力症向けのFIRDAPSE®やデュシェンヌ型筋ジストロフィー向けのAGAMREE®などの承認済み医薬品があり、米国を中心に上市と販売活動を行っています。
主要な顧客は患者、診療を行う医師、薬局、それに対する保険者や公的医療プログラムで、処方と保険償還が売上の大部分を占めます。同社は製品売上を主な収益源とし、ライセンス収入、ロイヤルティ、マイルストーン支払いも収益構造に組み込んでいます。
事業は「医薬品の研究開発と商業化」という単一の報告セグメントで運営しています。既承認薬の販売に加え、他社からのライセンス取得や買収でポートフォリオを拡大する戦略を採っており、製造や臨床試験の多くは外部の受託先に委託しています。さらに、ロイヤルティ支払いや最低保証といった契約上の義務が収益性に影響する点にも注意が必要です。
経営方針
同社は「買収して伸ばす(buy‑and‑build)」戦略を掲げ、希少疾患分野での事業規模拡大を目指しています。手元資金は2024年12月31日時点で現金および短期投資を合わせて約5億1,760万ドルあり、2024年の純利益は約1億6,390万ドルと堅調でした。資金調達面では上限5億ドルのシェルフ登録を行い、2024年1月に普通株式1,000万株の公募で約1億4,070万ドルを調達しています。これらの資金基盤をもとに、事業継続見通しは少なくとも12か月を想定しており、買収やライセンスでの成長加速を狙っています。
重点投資分野は希少(オーファン)神経領域の既承認薬と臨床段階資産で、既存の主要製品であるFIRDAPSE®、FYCOMPA®、AGAMREE®の商業化を強化することが差別化の柱です。具体的には、FYCOMPAの米国権利を1億6,420万ドルで取得し、AGAMREEの北米ライセンスに対しては初回現金支払額が7,500万ドル、さらに承認後のマイルストーンや売上に応じた段階的なロイヤリティ(北米での売上帯に応じて5〜11%、サブライセンサー向けは7〜15%の階層)が設定されています。また、サンテラへの戦略的出資として約1,414,688株を取得し、約1,350万ドルを研究開発(Phase IV)支援に充てるなど、技術開発へ資金を組み込みながら価値創出を図っています。
新市場開拓や事業拡大では、地理的拡大とアライアンスを重視しています。カナダではKYEとAGAMREEの独占販売サブライセンス契約を結び、KYEがカナダ当局への承認申請(同社はQ1 2025申請を想定)と商業化を担う構図です。日本では既にFIRDAPSEが発売され、DyDoが販売を担うなどパートナーを通じた現地展開を進めています。加えて、同社は買収候補やライセンス案件を体系的に評価する体制を整え、将来的な資産取得のための交渉余地と資金的余力を維持しています(買収事例としてJacobus関連で約3,770万ドルの取得実績あり)。
技術革新への取り組みは、臨床開発と品質確保、ならびに内部統制の強化に分かれます。ライセンスで取得した未承認の研究開発資産(IPR&D)は承認まで費用計上し、AGAMREEの承認後に支払った3,600万ドルのマイルストーンは取得資産として計上し、償却期間10.5年で按分するなど会計面でも投資回収を見据えています。製造面では委託製造契約や一定の購入コミットメント(年間約5十万ドル)を設定し安定供給を確保しつつ、サイバーセキュリティを含むリスク管理を経営全体に統合して取締役会レベルで年次レビューを行うなど、商業化後の持続的成長に必要な組織的・技術的基盤の整備にも注力しています。