COTY INC.COTY

時価総額
$27.2億
PER
化粧品・パーソナルケア製品の大手。香水やカラーメイクを展開。2016年10月にP&Gビューティー事業を買収、2020年にKylie JennerとJV締結、JABが約54%保有。約123カ国で展開中。

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企業概況
107文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
2項目)
ライバル企業
4社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

COTY INC.は世界的な化粧品・美容製品メーカーで、主力は香水(特に高級香水)、色付き化粧品、ネイル製品、スキンケアなどです。同社は自社でブランドを所有すると同時に、有名ブランドの長期ライセンスを取得して商品を展開し、幅広い消費者層に訴求しています。

主要な顧客は百貨店やドラッグストア、チェーン小売、サロンといった取引先と、オンラインや店舗を通じて購入する最終消費者で、これらのチャネルを通じて売上を得ています。収益構造では高級香水の比率が高く、売上の約6割がこの分野から生まれており、ブランド所有とライセンス収入が収益の柱になっています。

事業は大まかに一般向け製品と高級製品のセグメントに分かれ、ブランドごとに異なる販促や流通戦略で運営しています。製造は約8割を自社工場で行い、残りを外部に委託して供給網を最適化するとともに、デジタルやデータ分析を活用したマーケティングでブランド価値の向上を図っています。

経営方針

同社は売上成長と資本効率の両立を目指しています。経営の最優先としてグロスマージンの改善、負債削減(デレバレッジ)、事業の簡素化を掲げており、プレミアム香水を中核に据えたポートフォリオ戦略を進めています。実際に2025会計年度では売上の約60%がプレミアム香水に起因し、そのうち上位7ブランドで約91%を占めるなど高付加価値領域に強みがあります。またブランドの構成は自社保有や永続的なライセンスで約48%、独占的ライセンスで約37%を占め、ライセンスの平均残存期間は約24年と長期的な収益基盤を持っています。資本配分では株式買戻しや債務管理を活用しており、過去には2024年に現金200百万ドルで買戻しを実行、将来的には2025年・2026年にそれぞれ約196百万ドル、約294百万ドルのポテンシャル買戻しが見込まれています。

同社はブランド構築とマーケティング、供給網、商品開発への重点投資で差別化を図っています。具体的施策としては、デジタルネイティブなKylie Jennerとの戦略的パートナーシップや、プレステージ化粧品への拡大、スキンケアのポートフォリオ構築を進めています。マーケティングでは人工知能(AI)を用いたメディア配分とコンテンツ最適化、検索エンジン向けの文言作成や翻訳などを導入して広告投資の効率化を図っており、グローバルで約123カ国に製品を流通させる販売網と組み合わせてブランド力を高めています。製造面では自社で約81%を生産し、残り19%を外部委託する体制で品質とコストのバランスを取っています。

同社は新市場開拓と事業拡大を、既存ブランドの再定位と新カテゴリの投入で進めています。具体的にはプレステージ分野での品目拡大、スキンケア領域への新製品投入、そしてオンライン販売チャネルの強化や小売との共同プロモーションを通じた販路拡大を計画しています。サプライチェーン面ではバルセロナにグローバルハブを設置し在庫管理やサービスレベル改善、温室効果ガス削減を目標に運用を集約しており、不要な事業や低採算ブランドの売却・統廃合を行ってポートフォリオを最適化することでも成長余地を創出しようとしています。

同社は技術革新を業務効率化と商品開発に直結させる取り組みを進めています。マーケティングではAIによる消費者分析や広告配分モデルを導入し、サプライチェーンでは機械学習を使った需要予測や在庫最適化を進めています。また原料調達や製造プロセスのデジタル化でコスト削減とスピード向上を図り、代替試験の活用やサプライヤー監査を通じて持続可能性対応にも取り組んでいます。これらの技術投資により、同社は製品投入のスピードとマーケティング投資の回収効率を高めることを目指しています。