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CorEnergy Infrastructure Trust, Inc.CORR
事業内容
CorEnergy Infrastructure Trust, Inc.はエネルギー分野の中流インフラを所有・運営する会社で、主に原油と天然ガスの輸送パイプラインや貯蔵施設に投資しています。 同社はカリフォルニアを中心に原油輸送網と貯蔵タンクを稼働させており、かつて保有していたMoGasやOmegaのパイプラインは2024年1月に売却しました。
同社の顧客は大手精製所や公益事業体、自治体など信用力の高い企業が中心で、契約に基づく輸送料や容量予約料によって収益を確保しています。 Crimsonのような主要路線では州の規制に基づく費用回収型の運賃で価格を決めており、これが収入の安定化につながっています。
事業は主にパイプラインによる輸送とタンクによる貯蔵の二本柱で、Crimsonパイプラインシステムが中核資産になっています。 同社は既存ネットワークの拡張や企業買収で成長を図ると同時に、再生可能エネルギーの貯蔵や二酸化炭素の輸送・貯留といったエネルギー転換分野にも取り組み、特有の税務上の扱いにより配当面での優位性を持っています。
経営方針
同社は成長のために三つの柱を掲げています。既存のパイプライン網内での拡張、企業買収による規模拡大・ポートフォリオの多様化、そして再エネや二酸化炭素の回収・貯留といったエネルギー転換分野への参画です。財務面では長期的に総債務/調整後EBITDAを4.0倍未満に抑えることを目標としており、買収時には一時的に超過することを容認する一方で、負債と株式を組み合わせた柔軟な資金調達で早期に目標水準へ戻すことを目指しています。直近では、再編計画に基づき転換社債保有者から5年・総額4,500万ドルの担保付タームローン(年利12%)と、緊急用途に限定される1年・1,000万ドルのリボ枠を確保する枠組みが示されており、資金繰りの安定化を図っています。
重点投資分野は「長期で安定した現金収入」が見込める中流インフラです。同社は長期契約や規制による費用回収方式(コスト・オブ・サービス)を重視し、競合参入が難しい権利幅や運用ノウハウがある資産に投資することで収入の安定化を図っています。税務面ではエネルギーインフラ特化型のREITとしての地位を活用し、分配を通じた税負担の最適化を目指しています。また顧客の多くは投資適格の精製所や電力事業者などで、取引先の信用リスクを低く抑える点も差別化要素です。クリムゾンの輸送量は近年変動しており、同社は当該地域で運賃改定(例:SPB系で最大36%申請、KLM系で最大128%申請の一部既に適用)を通じて収益基盤の修正も進めています。
新市場の開拓や事業拡張は、既存ネットワークを活用した周辺展開とエネルギー転換関連分野への横展開が中心です。同社は権利幅や既存インフラを活かして、再生可能燃料や貯蔵設備、CO2輸送・貯留といった新用途を模索しており、これらは既存顧客との長期契約と相性が良いため安定収入源になり得ます。加えて、企業買収や資産取得により地域・商品別リスクの分散を図る方針で、必要に応じて株式や劣後債を併用して資金構成を調整する計画です。ただし同社は2024年にチャプター11手続を進めるなど流動性と資本構成の再編を行っており、これらが最終的に事業拡大にどう影響するかは手続の帰結次第です。
技術革新と運用品質向上にも注力しています。同社は「安全第一」の運用方針の下で安全関連技術への投資や頻繁な点検・長期的な資産保全を実施し、パイプラインの稼働率と信頼性を高めています。加えて、経営陣の目標達成を促すために経営インセンティブ制度を導入し、再編後は新株式やワラントで総発行株式の一定割合(それぞれおおむね5%相当の枠)を割り当てて経営と株主価値の整合を図る予定です。これらを通じて同社は安定収益の確保と、将来の成長へ向けた実行力の強化を目指しています。