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Cencora, Inc.COR
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事業内容
Cencora, Inc.は医薬品の調達・流通と製薬企業向けの商業支援を主力とするグローバル企業です。同社は血漿や注射剤、ワクチン、専門薬や一般用薬の配送を行い、バイオ医薬やバイオシミラー、細胞・遺伝子治療といった先端治療へのサポートも行っています。
同社の主要顧客は病院や診療所、独立系・チェーン薬局、長期療養施設、獣医などの医療提供者と、製薬・バイオ企業です。収益は医薬品の売買によるマージンに加えて、物流・在庫管理、データ分析、発売支援や患者支援などの付加価値サービスから得ています。
事業は主に米国向けのU.S. Healthcare Solutionsと欧州を中心とするInternational Healthcare Solutionsの二つのセグメントに分かれています。小売薬局向けのGood Neighbor Pharmacyや保険連携のElevate Provider Network、病院向けの業務改善や包装・調剤ソリューション、動物用医薬品事業、規制・安全性や市場参入支援など多様な製品ラインとサービスを展開しています。
経営方針
同社は世界的な医薬品調達・流通サービスの大手として、米国と国際の二つの事業セグメントを成長の柱に据え、収益と営業利益の拡大を目指しています。医薬品市場の追い風(IQVIAの見通しで2023〜2028年の年平均成長率が約8.2%)を背景に、米国事業の効率化と国際事業の拡大を通じて成長を図る戦略です。資本配分では株主還元を強化しており、取締役会は四半期配当を8%引き上げて1株当たり0.55ドルとし、2024年3月には最大20億ドルの自社株買い枠を承認、2024会計年度中も複数回にわたり買い戻しを実行しています。さらに外科的な成長施策として、PharmaLex買収(約14.73億ドル)、OneOncologyへの出資(約7.18億ドル、持分比率34.9%)に続き、網膜専門のRCA買収を約46億ドルの企業価値で合意するなど、M&Aで事業領域を広げる方針です。
同社は流通の規模と低コストの供給網を差別化の中核と位置づけ、専門製品の取り扱いやメーカー向け付加価値サービスに重点投資しています。具体的には、血漿製品、注射剤、ワクチン、オンコロジーや眼科向けの医師処方製品、バイオシミラーやセル・遺伝子治療の物流対応を強化しています。また、ジェネリック製品の自社ブランド(アイルランド拠点のプライベートラベル)や、製薬メーカー向けの市場参入支援や患者支援プログラムなどで差別化を図っています。物流面では国内の大規模配送センターや倉庫自動化の導入で作業効率を高め、2024会計年度の出荷/保管関連費用が約12.66億ドルにのぼる大規模オペレーションを効率化する取り組みを進めています。
新市場開拓と事業拡大では、単なる流通領域にとどまらずライフサイエンス支援や医療提供体制への直接参画を進めています。PharmaLexの買収で国際的な規制・開発支援サービスを取り込み、OneOncologyやRCAへの出資・買収により医療提供側(特にがん診療や眼科)への関与を深め、当該領域での市場シェア拡大を目指しています。RCAについては企業価値約46億ドルに対し、同社の想定現金支出は約43億ドル、閉会時に約85%の持分を保有する見込みで、取引は現金と新規借入で賄う計画(橋渡し融資コミットメント33億ドルを確保)です。同社は一方で非中核資産の売却も選択肢とし、ポートフォリオの最適化で資本効率を高めようとしています。
技術革新では、受注・在庫・出荷を一体管理する電子注文システムや倉庫運用システム、さらにサプライチェーンの追跡を可能にするセキュアな情報基盤に継続投資しています。自動倉庫やラベル・包装ソリューションの導入で単位当たりの処理量を増やし、顧客への即応性とコスト優位性を高める狙いです。併せてサイバーセキュリティを重視し、最高データ・情報責任者(CDIO)と最高情報セキュリティ責任者(CISO)を配置、外部レビューを含む年次評価で情報管理体制を強化しており、複雑な高付加価値医薬品や国際物流の安全性確保に取り組んでいます。