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COLUMBIA BANKING SYSTEM, INC.COLB
事業内容
COLUMBIA BANKING SYSTEM, INC.は米国西部を中心に支店網とオンラインを通じて銀行業務を展開する持株会社で、主に銀行サービスの提供を行っています。 同社は企業向け・個人向けの融資や預金、決済・資金管理サービス、さらに資産運用や信託といった幅広い金融商品を主力としています。
同社の主要顧客は中小企業や中堅企業、それに個人や住宅購入を検討する顧客です。 収益は主に貸出からの利息差益と口座・決済・資産管理に伴う手数料収入で構成され、支店ネットワークとデジタルチャネルが預金と融資の基盤になっています。
事業の柱には商業貸出(運転資金や設備投資、不動産向け融資や建設ローンなど)や住宅ローン、個人向けローンが含まれます。 加えて企業向けに入金・支払処理や現金管理のサービスを提供し、富裕層向けには資産運用、信託、プライベートバンキングを通じたウェルスマネジメントを行っています。
経営方針
同社は西部を中心とした市場シェア拡大と収益の安定化を成長の柱に据えています。具体的には、合併で得たスケールを活用して総収益の拡大と経費の統制を進め、自己資本に対する収益性(ROATCE)の向上を目指しています。直近の業績では2024年の希薄化後1株当たり利益が2.55ドル、年次配当は四半期ごとに0.36ドル、合計で年間1.44ドル(配当性向56%)を支払っており、資本比率はいずれも規制最低を上回っている点を踏まえ、株主還元と成長投資のバランスを取る方針です。買取や自社株買いについては、2024年12月31日時点で取締役会の買戻し承認は出ていません。
同社は商品・チャネルへの重点投資を通じて差別化を図っています。商業貸出、トレジャリーマネジメント(法人向け資金管理)、ウェルスマネジメントなど高付加価値の分野に注力するとともに、支店網とモバイル/オンラインの両方で顧客接点を維持し、「関係性を重視する」サービスで顧客の囲い込みと手数料収入の拡大を狙っています。さらに不正対策の取り組み「S.A.F.E.」導入や、顧客の現金運用を診断するコンサルティング型の決済サービス提供など、個別ニーズに応える体制を強化している点が差別化の実務的な例です。
新市場展開では、Umpqua Holdings(UHC)との合併が成長計画の加速装置になっています。2023年の合併は会計上リバース・マージャーとして扱われ、買収対価は約23.4億ドル、取得した貸出金残高は約109億ドル、のれんは約10.3億ドルとなりました。これによりオレゴン・ワシントンに加えカリフォルニアや山岳州域まで西部でのプレゼンスが拡大し、地域に根ざした支店と人材を活かして新規顧客獲得と既存顧客の関係深化を進める計画です。コミュニティ投資面でも、歴史的に資金需要が高い地域向けに5年間で81億ドルの地域貢献プランを掲げており、地域密着の成長を両輪で追求しています。
技術革新とリスク管理の両面にも投資しています。顧客向けにはリアルタイム決済やモバイルアプリ、チャットでの共操作(コーブラウズ)など利便性を高める機能を導入しており、内部では情報セキュリティ体制やインシデント対応計画を整備しています。信用リスク管理では将来の経済変数を想定するモデルやムーディーズのシナリオを使った貸倒引当の感応度分析を行い、商業ローンや輸送分野のリスクに対する定性的上乗せを実施するなどモデリングと判断の両方で備えています。技術・制度変更の実行は遅延やコスト超過のリスクがあり得ると認識しているため、同社は実施の進捗管理と外部監査による統制の有効性確認を継続しています。