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COHU INCCOHU
事業内容
Cohu, Inc.は半導体の最終段階にある検査・試験装置を設計・製造する企業です。同社は試験ハンドラや自動試験装置(ATE)、テストコンタクタ、各種の画像検査システムなどを主力製品として展開し、装置本体に加えてソフトウェアや交換部品も扱っています。
同社の顧客は半導体メーカー、ファブレス設計会社、試験を受託する外注業者が中心で、少数の大口顧客からの繰返し受注が売上に大きく影響します。近年は装置売上に加えて保守部品、キット、ソフトウェアのサブスクリプションやサービスによる繰返し収入が伸びており、2024年はその割合が約65%に達しています。
事業は大きく装置本体(試験・検査システム)、テストコンタクタ、検査用ビジョンやデータ解析ソフトの三本柱で構成しています。独自のNV‑Coreビジョン技術で外観や微細欠陥を検出し、DI‑Coreデータ解析で装置の稼働監視や予防保守を行うソフトをサブスクリプションで提供するとともに、交換部品や専用キット、設置・保守・教育などのサービスで顧客を支えています。製造はマレーシア、フィリピン、米国、日本などの拠点で行い、一部の製造を外部委託しながらグローバルに顧客サポートを展開しています。
経営方針
同社は長期的に「バランスの取れた回復力ある事業モデル」を構築することを成長戦略の中心に据えています。短期的には景気変動で需要が落ち込み、2024会計年度の売上高は前年から36.9%減の4億0180万ドルとなりましたが、半導体の普及、AI活用の拡大、テスト要求の高度化といった長期的な市場ドライバーは維持されていると見ており、顧客の設計採用(デザインウィン)獲得や新製品の投入で回復を図る方針です。財務面では、2024年2月にタームローンの残高約2930万ドルを返済し、同年中に自己株式を915,504株、約2700万ドルで買い戻すなど、負債削減と株主還元の両立を意識した資本配分を進めています。
同社が重点投資する分野はテスト接触子(テストコンタクタ)、ハンドラ(試験搬送装置)、装置の自動化・解析ソフトです。差別化要因としては、NV‑Coreという視覚検査技術で三次元の形状検査や側面微細クラック検出、赤外線による内部欠陥検出を可能にしている点、そしてDI‑Coreというデータ解析ソフトで稼働監視や予知保全を実現し、ソフトウェアのサブスクリプションを含む「繰返し収入」を拡大している点が挙げられます。実際に2024年は繰返し収入が全売上の約65%を占めるに至っており、ハード中心からサービス・消耗品中心への収益構造シフトを進めています。
新市場開拓と事業拡大は、買収と生産拠点強化を両輪で進める計画です。過去の戦略的買収としては、MCT(2023年1月、最終購入価額約2680万ドル)やEQT(2023年10月)の統合でテストハンドラやコンタクタのラインナップを補完し、2025年1月にはAIを用いたプロセス制御・解析ソフトを手掛けるTignisを約3510万ドル(業績連動で最大+500万ドルのアーンアウト)で取得しました。生産面ではフィリピンやマレーシアの工場拡張と、マレーシア・マラッカのリース施設をMYR 41.8百万で取得するなど、アジアでの生産基盤強化に投資しています。今後も補完的事業や技術の投資・買収を定期的に検討すると明言しています。
技術革新への取り組みは、製品とソフトウェアの融合に重きを置いています。高度化する半導体に対応するため、装置の検査精度やスループット向上、装置間データの連携による工程最適化を目指し、DI‑Coreのようなオンライン監視・解析機能を中心に製品化を進めています。買収による無形資産の導入は2024年ののれん・償却費にも表れており(買収関連無形資産の償却額は2024年に約3910万ドル)、技術を速やかに市場に実装して収益化することが短中期の重点課題です。同社は顧客との共同開発や設計段階からの関与を通じてデザインウィンを積み重ね、テスト需要の高まりに応えることで競争優位を維持しようとしています。