COHERENT CORP.COHR

時価総額
$210.8億
PER
レーザー・光学・エンジニアドマテリアル事業の最大手。VCSELやInPダイオードレーザー、光トランシーバを展開。2022年7月の買収完了と2025年6月30日現在で従業員約30,216名体制。米国・欧州・アジア太平洋を中心に展開。

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企業概況
106文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Coherent Corp.はレーザーや光学部品、高性能材料を中核に据えたフォトニクス製品とシステムの設計・製造を行う企業です。同社は光通信向けトランシーバやレーザーダイオード、3Dセンシング用のVCSELや産業用レーザー加工システムなど、幅広い製品ラインを提供しています。

主要顧客はデータセンター事業者、通信機器メーカー、コンシューマー機器メーカー、自動車関連企業、半導体装置メーカーなど多岐にわたり、大口顧客との継続的な受注が収益の骨格を作っています。同社は主要顧客向けの受注を前提に生産計画を立てることでスケールメリットを出し、数社が売上の大きな割合を占める収益構造です。

事業は「データセンター・通信」と「インダストリアル」の二つの報告セグメントに分かれており、それぞれに専用の製品群を持っています。通信側では高速トランシーバや送受信部材、フォトニクス基盤技術を展開し、インダストリアル側では精密加工用レーザー、EV向けのSiC基板などの高性能材料、半導体製造装置向けの素材・部品やターンキーソリューションを提供しています。

経営方針

同社は「世界水準のレーザー、光学、エンジニアドマテリアルで事業を成長させる」ことを成長戦略の中核に据えています。特にハイパースケールのAIデータセンター向けトランシーバー需要の伸びを取り込み、既存の主要顧客との受注拡大で前方計画と生産効率を高めることで売上拡大を狙っています。事業再編としては2023年と2025年のリストラクチャリングを実施し、これまでに約2億ドルの特別損失を計上したほか、買収によるシナジー目標として2.5億ドルの節約を達成しており、2026会計年度末までに再編を実質完了させる見込みです。

重点投資分野は、データセンター/通信向けの光トランシーバーや産業用レーザー・精密材料など、高付加価値のコアコンポーネントです。同社は垂直統合と幅広い製造拠点を強みとし、レーザーや材料、必要部材の内製化で「量産スケール」と「品質・納期・技術サポート」を武器に差別化を図っています。主要顧客向けの大口受注を基盤に、製造の内製化や供給チェーンの多地域化でサプライリスクを低減しつつ、製品ごとの歩留まり改善やコスト削減にも注力しています。

新市場や事業拡大については、AI/ML向けデータセンター(Datacom)、従来の長距離伝送を担うテレコム、そして精密加工や半導体装置向けの産業市場を二つの報告セグメント(Datacenter & Communications、Industrial)に再編して対応しています。具体的にはZR/ZR+トランシーバーやシリコンカバー技術、3Dセンシング用のVCSELといった製品でコンシューマー、車載(SiC基板やLiDAR用途)、ワイヤレス基地局(GaN-on-SiC)などの成長分野へ展開を加速しており、主要顧客の増加と大口化による売上拡大を目指しています。一方で、買収による成長を続ける計画はあるものの、統合失敗が業績に与える影響を認識しており、人員維持やシステム統合など具体的な統合リスク管理も明示しています。

技術革新への取り組みでは、研究開発への継続投資と製造現場との密接な連携を重視しています。同社は新素材やプラットフォーム技術の長期開発に注力し、開発と生産の協働で技術移転を加速してコストと時間を削減する方針です。さらに6インチVCSELやInP(インジウムリン化物)レーザーなどの自社ファブを活用した量産体制、シリコンフォトニクスや光学部品の内製化、そして工場での太陽光活用など環境負荷低減の取り組みも進めており、技術競争力と持続可能性の両面でリードすることを目指しています。