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- COHEN & STEERS, INC.
COHEN & STEERS, INC.CNS
事業内容
COHEN & STEERS, INC.は実物資産や代替的な収入源に特化したグローバルな資産運用会社です。同社は不動産(上場・私募)、優先証券、インフラ、天然資源関連の株式やコモディティなどを対象に、アクティブ運用のファンドや上場投資信託(ETF)、機関向け戦略を運用しています。
主要顧客は年金基金や保険会社、金融機関、そして証券会社やアドバイザーを通じる個人・富裕層などの機関投資家と富裕層で、販売は第三者チャネルに大きく依存しています。同社の収益は運用資産残高に基づく運用報酬が中心で、場合によっては成功報酬や投資からの利息・配当も収入源となり、資金流入・流出や手数料競争で収益が変動します。
事業は複数の投資戦略と運用形態に分かれており、たとえば安定的な収入と資本保全を目指す優先証券戦略、インフラや天然資源に投資する上場株式戦略、そして安定収入を重視する国内重点の不動産戦略などを展開しています。同社は投資信託、ETF、私募ファンドや一任運用・助言業務を通じてこれらを提供し、米国を中心に欧州・アジアにも拠点を置いて運用と販売を行っています。
経営方針
コーエン&スティアーズ(Cohen & Steers)は、資産運用の拡大を成長戦略の中核に据えており、2024年末の運用資産残高は858億ドルと前年から3.2%増加しました。同社は既存のコア商品を超えて事業を多角化することを掲げ、特に不動産を含む「実物資産(real assets)」や代替的インカムと呼ばれる分野の拡充を重視しています。財務面では2024年の当期純利益は約1.63億ドル、1株当たり基本利益は3.00ドルと堅調で、株主還元では2025年2月に1株当たり0.62ドルの四半期配当を発表するなど、安定配当を維持する姿勢を示しています。
重点投資分野は上場・非上場の不動産、優先証券(プレファード)、インフラ、資源関連株やコモディティ、さらに複数戦略を組み合わせた商品などで、これらを通じて差別化を図っています。同社は優先証券戦略での一貫した運用プロセスや、個別の機関投資家向けにカスタマイズした専用口座の提供などで他社と競合する一方、新規戦略の立ち上げにあたってはシード投資や運用チームの拡充、マーケティング投資を行うことでトラックレコードを構築していく方針です。ストックインセンティブ制度では最大2,300万株の付与枠があり、従業員の引き留め・報酬施策にも資本を割いています。
新市場開拓と事業拡大では地理的なプレゼンス強化を明確にしており、本社のニューヨークに加えロンドン、ダブリン、香港、東京、シンガポールに拠点を置いて国際展開を進めています。商品面では上場投資信託(ETF)など流通性の高い商品も含めてラインアップを拡大中ですが、新規商品の立ち上げには種銭や固定費の先行負担が必要であるため、費用管理と販売チャネルの確保が成長実現の鍵になると同社は示しています。流通面では証券会社や銀行などの仲介チャネルに依存しており、これらのプラットフォーム変化や統合がリスクにもなる点を経営陣は認識しています。
技術革新については、業務効率化や投資収益の向上を目的に人工知能などの先端技術を取り入れる方針を明確にしています。サイバーセキュリティ対策としては、インシデント対応計画の運用、最高技術責任者(CTO)や最高情報セキュリティ責任者(CISO)による定期報告、監査委員会での年次レビュー、サイバー保険の活用などを実施しており、2024年12月31日時点で事業に重大な影響を与えるインシデントは発生していないと報告しています。こうした技術投資とガバナンスにより、運用プロセスと顧客信頼の両面を高めようとしています。