Costamare Inc.CMRE

時価総額
PER
コンテナ船と乾貨物船の大手。タイムチャーター、セール・アンド・リースバックと運航管理を展開。2022年Q4に乾バルク運航プラットフォーム開始、2023年Q1にリース事業参入。世界主要航路と米欧中心に展開。

事業内容

Costamare Inc.は海運会社で、主にコンテナ船とドライバルク船を所有・運航し、これらの船舶を他社に貸し出すことで収益を上げています。同社はタイムチャーターや航海チャーターによる運賃収入のほか、リースやセール・アンド・リースバックといった形での貸出も行い、近年はドライバルク事業やリース事業にも本格参入しています。

同社の主要顧客は大手船会社や貨物を運ぶ荷主で、特にコンテナ航路を運営するライナー会社との長期的な取引が売上の柱になっています。収益構造はチャーター料やリース収入が中心で、船舶市況や航路需要の変動が業績に直接影響します。

事業はコンテナ船部門とドライバルク部門に分かれ、両者は市場特性や顧客層が異なるため運用方針も分けて管理しています。日常の運航や整備はグループの船舶管理会社に委託しており、資金調達は銀行借入や社債、リース取引などを組み合わせて船団の拡大・維持に充てています。

経営方針

同社は中長期的に安定した配当と資本効率の向上を両立させることを成長目標としています。資金面では営業キャッシュフローを基盤に、銀行借入や社債、セール&リースバックなどの長期資金調達を組み合わせて艦隊の維持・拡充を図っており、取締役会は2021年11月30日に普通株で最大1.5億ドル、優先株で最大1.5億ドルの自己株買い戻し枠を承認しています。実績としては2022年に約6,010万ドル分、2023年に約6,000万ドル分の普通株を買戻し、2024年は買戻しを行っていません。これらの施策により株主還元と資本構成の最適化を目指しています。

重点投資分野は船舶資産の更新とセグメントの多様化で、同社はコンテナ船と2021年以降参入したドライバルクの双方を運用しています。ドライバルクの運営プラットフォームは2022年第4四半期に稼働を開始し、2023年第1四半期にはリース事業にも着手しました。差別化の柱は主要ライナー会社との長期的な取引関係と、取引先から船を取得して同社が運航・チャーターバックするなどの交渉力です。船舶の簿価は2024年12月31日時点で3,387,012千ドル(約33.9億ドル)と大きな資産基盤を持ち、顧客への安定供給とサービス品質で競争優位を維持しています。

新市場開拓と事業拡大では、ドライバルク事業とリース事業を中心に収益機会を広げています。リース取引やセール&リースバックを通じて資産効率を高めつつ、新造船や中古船の取得を通じて航路別・貨物別の供給能力を調整する計画です。資金調達の選択肢としては従来どおり銀行融資や社債、運転資金の見直しを想定しており、同社はこれらの組合せで短期・中長期の流動性ニーズを賄うことを目指しています。

技術革新とリスク管理では、燃料と排出権の価格変動に対するヘッジを積極的に行っています。具体的には燃料(バンカー)スワップで2024年に純益380万ドルを計上しており、日次先物価格が100ドル上昇すると未決済バンカーデリバティブの公正価値は約460万ドル増える試算です。EU排出枠(EUA)先物についても2024年に純益30万ドル、未決済の公正価値は30万ドルの資産計上で、ユーロ建ての前方価格が10ユーロ上昇すると約20万ユーロ増加する感応度があります。加えて情報システムと内部統制の強化にも注力しており、定期的な脆弱性診断やメールフィルタリング、インシデント対応手順、従業員教育、外部監査による内部統制の評価を実施していることから、2024年末時点で経営陣は開示体制の有効性を確認し、独立監査法人も内部統制に関して無限定適正意見を表明しています。