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CUMULUS MEDIA INCCMLS
事業内容
CUMULUS MEDIA INCは米国を中心にラジオ局の運営と音声コンテンツ配信を主力とする企業で、放送番組の制作とネットワーク配信を行っています。ローカル局の生放送に加えて、ネットワーク番組やポッドキャスト、ストリーミング配信など多様な音声メディアを運営しています。
同社の収益は主に広告販売で成り立っており、地域の中小広告主から全国的なブランドまで幅広い顧客に対して広告時間やデジタル枠を販売しています。選挙期には政治広告が増えるなど季節要因もあり、オンエア広告とデジタル広告を組み合わせた短期契約が中心です。営業担当が顧客の目的に合わせて放送とデジタルを組み合わせたキャンペーンを提案して収益を拡大しています。
事業の柱はローカル放送局の運営、全国ネットワーク事業、デジタル/新音声フォーマット事業の三本立てです。具体的には約400局規模の保有局とWestwood Oneなどのネットワーク、Cumulus Podcast Networkやストリーミング広告ネットワーク、さらに地域向けのデジタルマーケティング(メール配信、位置情報を使った広告、動画やウェブ制作、検索対策など)を展開しています。これらを組み合わせて多様な聴取層にリーチし、広告枠の価値を高めることを目指しています。
経営方針
同社はラジオの物理ネットワークと新しいオーディオ領域の両方でリーダーシップを確立することを成長戦略の中心に据え、運営効率の向上とデジタル比率の拡大によりキャッシュフローを高めることを目指しています。具体的には、保有する約400局の放送局を84市場で運営し、9,500を超えるネットワーク加盟局を通じて月間約2.5億人にリーチする規模を活用して、広告売上の拡大を図っています。株主還元については取締役会が最大2,500万ドルの自社株買い枠を承認しており(有効期限は2025年5月15日)、一方で負債契約により買戻しや配当には制約がある点も経営判断の前提としています。
重点投資分野はポッドキャスト、ストリーミング音声、そしてローカル向けデジタルマーケティングサービスです。同社はCumulus Podcast Networkや国内有数のストリーミング広告ネットワークを中核に、番組内の録音広告や出演者による推薦広告、プログラマティック(自動入札)経路を通じてプレミアム広告枠を高付加価値化しています。ローカル営業では「Cumulus C‑Suite」や「Boost」といったウェブ制作、検索広告、評価管理などを組み合わせたデジタルサービスを提供し、従来のスポット広告に対する差別化と顧客あたりの収益拡大を狙っています。
新市場開拓と資産ポートフォリオの最適化にも注力しており、同社は市場での支配的地位を築ける地域には投資を集中し、非中核資産は売却で資金化する方針です。実例として近年はラジオ局の売却(WDRQで1,000万ドル、WFASで730万ドル)やBroadcast Music, Inc.(BMI)売却で1,480万ドルの現金回収を行い、必要資金の確保や事業再編を進めています。また、地方と全国を横断して広告枠を束ねて販売することで、ナショナル広告や地域案件の取り込みを強化しています。
技術面では配信と安全性の両方に投資を続けています。配信側はストリーミングやポッドキャストの広告挿入、視聴データの分析などを進めて広告ターゲティングと効果測定を強化しており、これによりデジタル広告比率の上昇を目指しています。一方でサイバーセキュリティではNISTの枠組みを参考に24時間体制の監視、二要素認証や定期的な侵入(ペネトレーション)テスト、従業員向けの意識向上訓練といった実務的対策を導入し、配信基盤と顧客データの保全を重視しています。