CUMMINS INCCMI

時価総額
$641億
PER
エンジン・パワーシステムとコンポーネントの世界最大手。アフタートリートメント、軸系、ブレーキ、電動パワートレインや水素電解器を展開。2022年8月にドライブライン大手を29億ドルで買収、2024年4月に和解で19億ドル支払い。北米・欧州・中国・インドなど約190カ国・地域で展開。

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企業概況
112文字)
業績概況
テーマ
ブランド
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

CUMMINS INC は主にディーゼルや天然ガスなどの産業用・車両用エンジンを設計・製造・販売するとともに、発電機や駆動系、排ガス処理といった動力関連製品やサービスを提供しています。加えて、電動化やバッテリー、電解槽(グリーン水素)など次世代の電力ソリューションにも投資して開発を進めています。

同社の主要顧客はトラックや自動車メーカー(例:PACCAR、Daimler、Traton、Stellantis)や建設・農業機械メーカー、データセンターや発電事業者など幅広い企業です。PACCARが最大顧客で売上の約16%を占め、上位数社で全体の約36%を占めますが、PACCARを除けば単一顧客の比率は9%未満です。長期の供給契約と部品・保守を含むアフターマーケットの販売が収益の重要な柱になっています。

事業は大きく「エンジン」「コンポーネント」「電動化・発電関連(Accelera)」および販売・サービスの領域に分かれています。エンジン部門はオン/オフハイウェイ向けエンジンを、コンポーネント部門は駆動系やブレーキ、排ガス処理などを供給し、電動化部門は電動パワートレインや水素関連設備を手がけています。研究開発にも継続的に投資し、排出規制対応や燃費改善、電動化・水素技術の実用化を進めています。

経営方針

同社は安定した収益基盤を維持しつつポートフォリオを再構築することで中長期の成長と収益性改善を目指しています。2024年の連結売上高は約341億ドル、営業現金収入は15億ドルで、同年の純負債比率は総資本比で約38.4%にあります。株主還元では四半期配当を引き上げており、2024年の年間配当は1株当たり合計7.00ドルに達しました。さらに取締役会は追加の自社株買い枠として最大20億ドルを承認しており(2019年計画の残枠は2024年末時点で約2.18億ドル)、資本政策は成長投資と株主還元のバランスをとる方針です。

同社は重点投資分野として排出規制対応、燃費改善、電動化および水素関連技術に重点を置いており、研究開発費は2024年に約14億ドルを計上しています。エンジンと排気後処理(アフタートリートメント)、トランスミッションや軸系などの部品を組み合わせた「統合パワートレイン」の提供を差別化要素とし、2022年のMeritor買収(約29億ドル)は駆動系と電動パワートレイン体制の強化に直結しています。さらに世界約650の拠点と19,000以上の認定ディーラーネットワークを持ち、OEM向けの長期供給契約や幅広いアフターマーケットでのサービス網を通じて競合と一線を画しています。

同社は新市場の開拓や事業再編を積極的に進めています。発電向け需要やデータセンター向け設備での成長が顕著で、Power Systemsセグメントの売上は2024年に約7.35億ドル増と報告されています。一方で、Accelera(電解槽やゼロエミッション関連)については採用ペースの鈍化を受けて2024年末に戦略的再編を実施し、約3.12億ドルの再編費用を計上しました。Atmusの分社化・売却など選択と集中を進めるとともに、約23億ドルの現金・有価証券と最大40億ドルの与信枠を背景に、戦略的買収や資産売却を通じてポートフォリオを更に最適化する計画です(ただし交渉や規制承認の不確実性は留意事項です)。

同社は技術革新を経営の中心に据えており、将来の排出基準や燃費要求に応える新製品開発、電池・電力制御・水素生成といった電動化技術への継続投資を公表しています。研究開発は製品改善、コスト低減、顧客向けの技術サポートを目的に行われ、政府や顧客からの共同研究資金を受けることもあります。加えて気候リスクやサイバーセキュリティ、サプライチェーンの脆弱性を取締役会レベルで管理し、技術投資を実運用や顧客需要に結びつける取り組みを強化しています。