COMMERCIAL METALS CoCMC

時価総額
$64.8億
PER
鉄鋼製造とスクラップ再生の垂直統合事業の最大手。再生スクラップ由来のEAF鋼と鉄筋・ワイヤーメッシュを展開。22年4月のTensar買収(約5.5億ドル)や23年の複数買収を実施。北米・欧州(ポーランド中心)で展開。

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企業概況
108文字)
業績概況
テーマ
ブランド
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
1社)

事業内容

Commercial Metals Companyは鉄筋、商用品の棒鋼、ワイヤーロッドなど建設向けの鉄鋼製品の製造と販売を主力とする企業です。同社は電気炉を用いた小規模製鋼所(ミニミル)や加工拠点を通じて、現場で使われる補強材や関連鋼材を安定的に供給しています。

主な顧客は建設会社、鉄筋加工業者、流通業者や製造業者で、売上の多くはこれらへの製品販売から得ています。同社は北米と欧州にまたがる生産・加工ネットワークで国内販売と近隣国への輸出を行い、在庫対応や契約価格により短期的な価格変動を平準化しています。

事業は北米スチールグループ、ヨーロッパスチールグループ、新規事業グループの三つのセグメントに分かれています。スクラップ回収から製鋼、加工までを縦断的に運営してコスト優位を狙う一方、新規事業ではジオグリッドや基礎工法など建設の早期段階に対応する付加価値製品を拡充しています。

経営方針

同社は、鉄スクラップの回収から鋼材の製造、加工までを一貫して手がける「バーティカル・インテグレーション」で収益性と現金創出力を高めることを成長の中心に据えています。2024会計年度の売上高は約79.3億ドル、純利益は約4.85億ドルにとどまりましたが(希薄化後1株当たり利益は4.14ドル)、同社は金属マージンの最大化や製造稼働率の向上を通じてキャッシュフローを改善することを目指しています。株主還元も重点で、四半期配当は2024年に0.02ドル増額して0.18ドルとされ、自己株式買い取りプログラムは既存の3.5億ドル枠に5.0億ドルを上乗せする形で拡大され(合計8.5億ドルの枠に相当)、2024年8月31日時点で約4.04億ドルの買戻し余地が残っています。

重点投資分野は、原料調達の安定化とコスト競争力を支えるリサイクル事業、効率の高い製鋼設備、ならびに製品の付加価値化を図る加工(ファブリケーション)です。特に北米事業には資本支出の約77%を投じており、電気炉(EAF)による鋼板生産やスクラップ加工設備への投資を進めています。同社は原料の約98%を再生素材で賄っており、スクラップ供給拠点を製鋼所の近くに配置することで低コストかつ安定的な原料調達を実現し、輸入増加時でも自社ファブ工場向けの需給を確保して価格競争力を維持する差別化を図っています。

新市場・事業拡大は買収と製品ポートフォリオの広がりで進めています。2022年のTensar買収(ネットで約5.5億ドル)は、土木補強材や基礎補強システムといった非鋼材ソリューションを取り込み、既存のコンクリート補強製品と組み合わせて早期工程向けの包括的提案が可能になりました。さらにASRやKodiak、Roane、Tendon、BOSTD、EDSCO(現CMC Anchoring Systems)などの2022–23年の複数買収でスクラップ供給やアンカー、地盤改良製品のラインアップを拡充し、欧州ではポーランドのミニミルから近隣国への輸出も展開しています。将来的な買収は手元資金、融資枠、資本市場を通じて行う計画ですが、追加の借入が増えれば利息費用や財務レバレッジが高まるリスクもあると同社は認識しています。

技術革新では生産設備とデジタル化、サイバーセキュリティの強化を同時に進めています。製造面ではポーランドのミニミルに高品質ワイヤーロッドを生産する第三圧延ラインを導入するなど生産技術投資を行い、Tensarのような高機能ポリマー製品の研究・改良にも注力しています。業務のデジタル化ではスクラップリサイクル事業向けの新しい情報システムを段階的に導入し、2024年第4四半期に実稼働を開始して2025年第1四半期に完了しました。併せてNISTの枠組みを用いた包括的なサイバーリスク管理を定期的に(年1回以上)検証・外部監査で点検することで、操業継続性とデータ保護の両面を高める取り組みを進めています。