CLEAN HARBORS INCCLH

時価総額
$112.2億
PER
環境・産業向け廃棄物処理サービスの北米最大手。危険廃棄物の収集・運搬・処理・焼却、廃油の再精製を展開。2024年にキンボール(ネブラスカ)で第2焼却炉を稼働、同年に買収投資約5億ドルを実行。米国・カナダ中心に展開。

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企業概況
108文字)
業績概況
テーマ
ブランド
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

CLEAN HARBORS INCは危険物や産業廃棄物の収集、輸送、処理、処分を中核とする環境サービス会社です。主力サービスは現場対応の緊急対応や定期的な廃棄物管理、研究所や家庭向けの有害化学品回収サービス(CleanPack)と、使用済み油の回収・再精製による潤滑油・基礎油の生産です。

同社の主要顧客は化学、製造、精製所、自動車、公益事業、政府機関など幅広い業界で、大手企業から中小企業まで含みます。売上の多くは既存顧客による定期サービス契約や緊急対応、土壌改修などのプロジェクト収入で成り立っており、顧客側の規制要件や切替コストが収益の安定につながっています。

同社の事業はEnvironmental ServicesとSKSSの二つのセグメントに分かれ、前者は廃棄物の一貫処理、焼却、浄化、廃水処理、現場作業や緊急対応など多様なサービスを扱います。後者は使用済み油の回収と再精製を担当し、年間数億ガロン規模の油を再生して市場向けの基礎油や潤滑剤に戻すことで環境負荷を低減しています。広域にわたる処理施設や焼却炉、再精製設備と自社輸送網を活用して、技術投資や付加価値サービスを通じて顧客に迅速に対応しています。

経営方針

同社は中長期的に「業界と環境が交差する地点で顧客の第一選択となる」ことを成長目標に掲げています。具体的には、買収を積極的に活用して事業規模を拡大しており、2024会計年度には事業成長のために約5億ドル近くを投じました。また、株主還元の一環として、2024年12月31日時点で自社株買い枠として4億9,910万ドルが利用可能であると開示しており、資金は手元資金から賄う方針です。業績指標としては調整後EBITDAを運転資本や借入契約の基準に用い、経営陣と市場に対する説明責任を果たす形で業績管理を行っています。

同社の差別化は、幅広い資産ネットワークとワンストップサービスの提供にあります。北米で商業用焼却炉を十基保有し、2024年にはネブラスカ州キンボール施設に二号炉を稼働させ、年容量を7万トン増やしました。使用済み潤滑油の再精製でも優位性があり、2024年は約2億5,300万ガロンを回収して約2億4,900万ガロンの再生原油等を生産し、約240万トンの温室効果ガス排出回避に相当する成果を上げています。さらに、許認可の改定や既存施設の機能拡張により、新規大型施設を建設せずに処理能力を広げる戦術をとっており、これが顧客にとっての切り替えコストの高さとも相まって競争優位を生んでいます。

新市場開拓と事業拡大は買収とサービス拡充で推進しています。2024年は複数の企業買収を完了し、例としてノーブル社を約6,870万ドルで取得してSKSS(油回収・再精製)事業を強化しました。市場ニーズに応える形で、2024年にはPFASに特化した「Total PFAS Solutions」を立ち上げ、試験・ろ過・輸送・処分を一つの提供ラインで担える体制を整えています。緊急対応力も重視しており、全国150カ所超の対応拠点と現場投入能力で大型の環境事故や災害対応を取り込む戦略を継続しています。

技術革新には継続的に投資しており、生産性向上と顧客体験の向上を両立させる取り組みを進めています。具体的には、工場の処理能力向上や自動化に加え、人工知能などを利用した業務の自動化、輸送フリートの中央管理、顧客向けポータルやリアルタイムのサービスデータ提供といったデジタル化を導入しています。こうしたIT関連投資は2024年に当社のコーポレート費用の中で約510万ドルの増加として現れており、長期的にはコスト削減とクロスセル機会の拡大につながると見込んでいます。