Chatham Lodging TrustCLDT

時価総額
$3.5億
PER
アップスケールの延長滞在型・オールスイートホテル投資の有力企業。主要ブランドはHomewoodやResidence Innなどのプレミアム系を展開。2024年5月30日にHome2 Phoenixを4,330万ドルで買収。主に米国の25大都市圏を中心に展開。

事業内容

Chatham Lodging Trustは、主に米国のプレミアムブランドが展開するアップスケールな長期滞在型ホテルや全室スイート型のホテル、そして一部サービス型のホテルに投資する不動産投資信託(REIT)です。同社は物件を取得して保有し、外部の運営会社に管理を委ねながら資産価値の向上と安定的な収益を目指しています。

主要な顧客は企業出張者や長期赴任者、転勤者といったビジネス需要で、朝食や高速インターネット、客室内の調理設備など滞在ニーズに応えるサービスが中心です。同社の収益は宿泊稼働率と宿泊料金に連動し、ホテル運営による営業収入や保有資産の価値上昇からの利益が主な収入源になっています。

事業の区分は全ホテルを単一のセグメントとして評価しており、細かい分割報告は行っていません。同社は長期滞在型、全室スイート型、一部サービス型という主要な製品ラインに投資し、優良立地での取得、リブランドや改装といったリポジショニング、第三者運営会社との積極的な資産管理や選択的な開発で価値向上を図っています。

経営方針

同社は株主に魅力的な総合リターンを提供することを目指しています。その成長戦略は、主にプレミアムブランドのアップスケール延長滞在型ホテルやセレクトサービス宿泊施設への分散投資を通じて賃料収入と資産価値の双方を高めることにあります。具体的には主要25大都市圏を重点市場とし、取得価格が再取得コストを下回る案件や運営が行き届いていない案件を割安に取得して価値を引き上げる方針です。資本政策面では、内部留保(フリー・キャッシュフロー)、借入、株式発行の組合せで成長を賄う計画であり、2024年末の純負債比率は約23.1%と保守的な水準にあります(過去の運用レンジは中20%台〜低50%台)。

同社は投資分野を「延長滞在型」と「プレミアムなスイート/セレクトサービス」に絞ることで差別化を図っています。これらは出張や長期滞在需要に強く、平均日額(ADR)や稼働率を通じた収益の安定性が見込めるため、景気変動に対する耐性が高いと見なされています。運用面では買収後のリブランド、改装、客室拡張、運営会社の変更といったバリューアップ施策を積極的に行い、個々のホテルのRevPAR(客室稼働あたり収入)や収益性を引き上げることを重視しています。加えて、外部のフランチャイズブランドを活用することで集客基盤を確保しつつ、第三者管理会社を柔軟に選定することで運営効率を高めています(2024年末時点で保有物件は37軒、客室数5,596室)。

同社は新規市場開拓と事業の慎重な拡大も志向しており、取得事例として2024年5月にHome2 Suites Phoenix Downtownを4330万ドルで取得するなど、選別したマーケットでの買収を継続しています。開発については限定的かつ選択的に実行する方針で、採算が見込める場合のみ新築や大規模改修を検討します。また、ホテル担保付きの債権へ選択的に投資して、比較的短期で物件を取得する戦略も採りうると明示しています。資金調達手段としては、50百万ドル規模の配当再投資・株式購入制度(DRSPP)や最大1億ドルの「随時売出し(ATM)」プログラムなどを用意しており、機動的な資本調達体制を整えています。

同社は技術革新とESG(環境・社会・ガバナンス)対応にも注力しており、具体的な取り組みとしてエネルギー効率化(省エネ照明、客室のスマートサーモスタット、低流量トイレ、洗濯排水の再利用など)をポートフォリオ全体で導入しています。サイバーセキュリティは、全物件を管理する業務管理会社の体制に依拠し、米国の基準(NISTフレームワーク)に整合した監視・対策を実施していると開示しています。財務リスク管理の観点でも、例えば2024年末時点で変動金利負債が2.5億ドル残高の場合、SOFRが100ベーシスポイント上昇すると年間で約250万ドルの追加金利負担が見込まれると試算するなど、金利感応度を数値で把握している点が投資家にとっての重要な情報です。