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City Office REIT, Inc.CIO
事業内容
City Office REIT, Inc.は、主に米国のサンベルト地域でオフィスビルを取得・保有・運営する上場の不動産投資信託で、賃貸による定常的な収入と資産価値の成長を通じて投資家に配当とキャピタルゲインをもたらすことを目指しています。同社は立地や設備に注力して長期的な賃貸需要を確保することを重視しています。
同社の顧客は連邦・州の政府機関や全国的・地域的な企業など多様なテナントで構成され、ポートフォリオの安定につながっています。収益は主にオフィス賃料で成り立ち、契約では年次の賃料上昇条項を設け、コスト増加をテナントに転嫁できる仕組みを採用しており、2024年末の稼働率は約85%でした。
同社は報告上はオフィス事業の単一セグメントで運営しており、約56棟・約560万平方フィートの物件をダラス、デンバー、フェニックス、シアトルなどの都市圏に集中して保有しています。日常の資産運用は社内で行いながら現地の管理会社に運営やリーシングを委託し、空室の改修や共用部の改善、戦略的な賃料改定や物件の取得・売却を通じて収益と資産価値の向上を図っています。
経営方針
同社は長期的に配当と資本価値の両面で「魅力的なリスク調整後のリターン」を提供することを成長の基本目標としています。具体的には、国内のサンベルト市場を中心にポートフォリオ拡大と賃料の着実な成長を通じて一株当たりの収益向上を図っており、2024年末時点で56棟、約560万平方フィートのオフィス物件を保有し、ポートフォリオ稼働率は85.4%、加重平均残存リース期間は4.5年となっています。賃料面では契約書に賃料の年次増額条項を組み込み、2024年は年間ベースで総賃料単価が約1.8%上昇したほか、同年に新規・更新で合計約80.6万平方フィートをリーシングし、現金収入の成長を狙っています。
同社は重点投資分野として「立地の良さ、設備充実、テナントミックスの安定性」を挙げ、こうした物件の取得と改善に注力することで差別化を図っています。具体的施策としては、空室スペースの改装や共用部・アメニティの改善、即入居可能なスペックシートの整備による即時リーシングの加速を行っており、2024年の平均実効賃料は1平方フィート当たり約32.70ドルで、新規リースでは約30.57ドル、更新リースでは約35.13ドルという水準でした。加えて、同社は賃料エスカレーション条項やテナントへの費用転嫁を活用し、既存資産からの現金フロー増加を狙っています。
新市場開拓や事業拡大については、同社は同一特性を有する成長市場への追加取得と、既存マーケットでの地理的深堀りを基本戦略としています。経営陣の現地ネットワークを活用して買収機会を発掘し、規模の経済や運営効率を追求する方針で、株主還元策としては過去に約4,006,897株、約5,000万ドル相当の自社株買いを完了しており(2022年)、取締役会は2023年5月に改めて5,000万ドルまでの買戻し枠を承認しています。加えて、四半期配当は2024年通年で各期0.10ドル、合計0.40ドルを支払うなど、配当と資本再配分を組み合わせて一株当たり価値の向上を目指しています。
技術革新への取り組みでは、同社は施設の近代化や運営効率化を通じて競争力を高める方針です。具体的には、スペックシートの整備や共用部のリノベーションといった物理的な改善により入居率と賃料を引き上げると同時に、外部の地域管理会社と連携して現地の運営ノウハウやシステムを導入することでコスト削減と迅速なリーシングを図っています。また、同社は開示統制や内部統制の強化にも注力しており、2024年12月31日時点での開示管理・内部統制は経営陣が有効と評価し、監査法人(KPMG)による監査でも適正意見を得ている点から、データ管理・サイバーセキュリティへの対応を含めたガバナンス面の強化も進めています。