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CINCINNATI FINANCIAL CORPCINF
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事業内容
CINCINNATI FINANCIAL CORPは主に保険業を営む企業で、企業向けと個人向けの損害保険を中核に、生命保険や国際的な専門引受業務も行っています。同社は火災や自動車、住宅、事業の賠償責任といった保険商品を中心に取り扱い、代理店向けにリースや融資サービスも提供しています。
同社の主要な顧客は地域の独立系保険代理店で、これらの代理店が企業や個人の契約者に保険を販売します。収益は保険料収入が中心であり、保険の引受差益に加えて、保有資産の運用益や再保険・国際引受に伴う収入も重要な収入源になっています。
事業は商業保険、個人保険、超過・特殊リスク保険、生命保険、再保険およびロンドン市場向けの専門引受などのセグメントに分かれています。同社は中小企業向けの三年契約パッケージや大口案件の引受、地域の代理店と本社の引受チームが連携したクレーム対応を通じて、安定した成長と損益管理を目指しています。
経営方針
同社は長期的な成長と株主価値の創出を目指しています。2024年の連結純利益は約22.9億ドル、希薄化後一株当たり利益は14.53ドルで、配当支払額は約4.9億ドルでした。資本政策としては自社株買いを継続しており、2024年は1,112,279株を平均113.55ドルで買い戻し、同年末時点で5,614,506株の買戻し余地を残しています。なお、2024年5月に長期的な後継計画に基づくCEO交代があり、リーダーシップ移行を計画どおりに実行できるかが業績に影響を与えるリスクとして認識されています。
重点投資分野は引受(アンダーライティング)力の強化と価格付けの高度化で、同社は独立系保険代理店との関係性、財務基盤、現地判断を尊重する業務構造といった競争優位を重視しています。具体的には、データと分析を用いたセグメンテーションで「収益性の高い契約」を識別し、弱い契約にはより厳しい更新条件を提示することで損益管理を図っています。商業保険では件数ベースで約70%が年払保険料1万ドル以下の小口契約ですが、平均契約サイズは約1.7万ドルで、上位の大口(年払10万ドル超)が全商業保険料の約35%を占めるなど、商品設計と価格戦略で幅広い顧客層をカバーしています。
新市場・事業拡大では、再保険部門(Cincinnati Re)とロンドンの専門アンダーライター(Cincinnati Global/Lloyd’sシンジケート318)を成長ドライバーと位置付けています。Cincinnati Reの2024年のネット引受保険料は約5.97億ドルで、そのうち約39%が地震や暴風などの物的リスク、約44%が賠償系リスク、残りが住宅ローン関連や海運、サイバーなど特殊リスクでした。代理店網も拡大しており、2024年末の代理店関係数は12,175、報告拠点は3,355、2024年の新規関係設定は212件で、独立系代理店を通じた市場浸透と生命保険やリース・融資といった補完サービスのクロスセルを進めています。
技術革新には投資とガバナンスの両面で取り組んでおり、価格化・引受の自動化や内部プロセス改善を通じて代理店の業務効率化を支援しています。サイバーセキュリティは全社的なリスク管理の一部として扱われ、侵入防止や脆弱性評価、外部専門家によるテスト、ベンダー選定時のAI利用やデータ保管場所の評価など具体的な対策を講じています。監督体制としては監査委員会が四半期ごとに最高情報責任者らから報告を受け、うち2名がサイバー監督の資格を取得しているなど、技術面と統制面の両方で運用と説明責任を強化しています。