CHIMERA INVESTMENT CORPCIM

時価総額
$9.9億
PER
住宅ローンやRMBS等への投資と投資運用サービスの有力企業。ディスクリショナリーファンドや第三者向け非裁量の投資助言を展開。2024年12月2日にパリセーズを現金3,000万ドル、最大2,000万ドルのアーンアウトで買収。米国21州での展開。

事業内容

Chimera Investment Corpは上場の不動産投資信託(REIT)で、主に住宅ローン関連の資産に投資する事業を行っています。同社は自己勘定での保有・運用に加え、投資運用やアドバイザリー業務を通じて第三者の資産運用も手がけています。

同社の主要顧客は保険会社、投資ファンド、銀行などの機関投資家が中心で、受託運用(裁量運用)と非裁量の助言・管理の両方で関係を築いています。収益源は保有資産からの利息収入や売買・売却益に加え、運用管理手数料(基礎報酬や成功報酬)、取引手数料などのフィー収入が柱です。

事業は大きく自社ポートフォリオの運用、第三者向けの運用・助言サービス、ローンの組成・証券化とサービシング(ローン管理)権の運用の三本柱で構成しています。具体的には政府保証の有無を問わない住宅ローン担保証券や個別ローン、投資用ローン、サービシング権利などを扱い、これらを組み合わせて収益や流動性を生み出すビジネスモデルです。

経営方針

同社は成長戦略の一環としてポートフォリオの多様化、流動性の向上、フィー収入(手数料型収入)の拡大を目指しています。具体的には、モーゲージ担保証券(RMBS)のうち官公庁保証付きの「Agency RMBS」を拡大し、より安定した配当と流動性を確保する方針です。2024年末時点での持ち株構成や市況を踏まえつつ、既存ポートフォリオを活用して再レバレッジを行い、成長資金を捻出する計画で、発行済普通株式は2025年1月31日時点で80,922,573株、2024年6月30日時点の非関係者保有投票株式の時価は約10.2億ドルでした。

同社は重点投資分野としてAgency RMBSに加え、モーゲージ・サービシング権(MSR)の取得を重視しています。MSRはローンの回収や管理で得られる手数料を通じて配当の多様化とローンポートフォリオのヘッジ機能を果たすと見ています。差別化戦略としては、自社のバランスシートで直接資産を保有する伝統的なモーゲージREIT事業に、投資運用・アドバイザリー事業を組み合わせる点にあり、2024年のPalisades買収(買収対価の公正価値合計約4,600万ドル、当初現金支払3,000万ドル+最大2,000万ドルのアーンアウト)を通じてフィー収入基盤を強化しました。

同社は新市場開拓・事業拡大を、Palisadesを軸にした運用サービスの拡大と有機・外部双方の成長で進めています。具体的施策としては、非裁量型(第三者保有資産に対する)投資運用・アドバイザリーの拡大、NR(非特定)再証券化や一部R(既存)再証券化のコールと再組成を2025年に予定するなど、証券化を活用した資金調達と資産最適化を行う計画です。資金面では2024年末のリコース(遡及)ファイナンス残高が29.6億ドルであり、そのうち48%が長期・限定的または非マークトゥーマーケットの融資枠で賄われているため、保守的な資本配分で拡大を図っています。株主還元や資本政策では、株式の買い戻し枠として約2.5億ドルの承認があり(2024年12月31日時点)、また最大5億ドルの「随時発行」型公募枠も保有しています。

同社は技術革新とリスク管理への投資も重要視しています。Palisadesに含まれる開発済み技術の簿価は約320万ドルで、買収時に計上した無形資産は総額約2,095万ドルにのぼります。これら技術資産と人員(2024年末の従業員数は77人でPalisades関連で36名を追加)を活用して運用・情報処理の効率化を図るほか、金利リスク管理のために先物、金利スワップ、スワプション等のデリバティブを用いたヘッジを行う計画です。加えて、サイバーセキュリティや事業継続計画を取締役会レベルで監督し、内部統制の有効性を維持することで運用リスクの低減を目指しています。