Celcuity Inc.CELC

時価総額
$39.9億
PER
バイオ医薬品開発の新興企業。PI3K/AKT/mTOR経路を標的とする抗がん剤候補gedatolisibの臨床開発を展開。Pfizerとのライセンス契約(2021年4月)と2022年12月の私募で約1億ドル、2024年5月の公募で約6000万ドルを調達。米国中心に展開。

事業内容

Celcuity Inc.は、主にがん治療薬の研究開発を行うバイオ企業で、リード候補はファイザーからライセンスしたgedatolisibという分子標的薬です。同社はgedatolisibの臨床試験を進め、特にホルモン受容体陽性の乳がんなどで既存治療との併用効果を検証し、承認後の製品化を目指しています。

同社は現時点で製品販売による安定収入を持たず、臨床開発の進捗に応じた資金調達(公募・私募・借入など)で事業を継続しています。将来的な収益は薬の承認後の販売と提携・ライセンス収入に依存しており、臨床試験の成功が収益化の鍵になります。

同社の事業は研究開発が中心で、臨床試験運営や規制対応に多くのリソースを割いています。製造や一部の試験実施は外部の製造委託先や受託研究機関に依頼しており、商業化に向けて販売方法は単独展開かパートナーとの協業を想定しています。競合製品や保険償還の動向が市場導入の成否に大きく影響します。

経営方針

同社は主力候補薬「gedatolisib」の臨床開発と商業化を通じた成長を目指しています。具体的には現在進行中の第3相試験(VIKTORIA‑1)に続き第3相(VIKTORIA‑2)や第1b/2相試験を進め、承認取得と2026年以降の収益化を目標にしています。資金面では、2022年の私募で約1億ドル、2023年のプレファンド・ワラントで約5,000万ドル、2024年5月の公募で約6,000万ドル(純収入約5,630万ドル)を調達しており、公開市場での売却枠としては当面1億2,500万ドルが利用可能です。同社は将来の利益を成長投資に回す方針で、配当は当面支払わない計画です。

同社は研究開発と規制対応、製造パートナーへの投資を重点領域と位置づけています。差別化の柱はgedatolisibの併用療法や特定患者群への適用可能性で、パートナーからのライセンス供与を受けた化合物を活用しつつ、外部の治験受託機関や製造受託機関(CMO)と契約して製造・供給体制を整備しています。人材確保のための施策としては、2025年1月に約44名の従業員が保有する約83.7万件のストックオプションの行使価格を引き下げる措置を実施し、同年3月には賦課済ワラントの行使で約560万ドルの資金調達が行われるなど、コア人員の維持とインセンティブ設計に具体的に対応しています。

新市場開拓と事業拡大については、同社はまず米国と選定した国際市場での承認・販売を目指し、単独または提携による商業化を想定しています。商業供給に向けたCMOとの商談を既に開始しており、販売が承認された場合には開発・規制業務に加え営業・マーケティング・流通機能の拡大を計画しています。ただし追加資金調達が必要になる可能性があり、株式発行や債務、提携による資金調達は既存株主の希薄化や条件面の制約をもたらすリスクがある点も明確に認識しています。

技術革新と内部統制の強化にも注力しています。臨床試験の質を保つための試験設計・患者選別の精度向上や、商業スケールを見据えた製造プロセスの確立を進めるとともに、情報セキュリティや内部統制の整備にも投資しています。具体的には脅威評価や事業継続計画、インシデント対応計画の運用、ベンダー管理での多要素認証要求、外部セキュリティ専門家の活用などを実施しており、2024年12月31日時点で財務報告に関する内部統制は有効であると経営陣が評価しています。