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CADIZ INCCDZI
事業内容
CADIZ INCは南カリフォルニアを中心に、水資源の開発と関連事業を手がける企業です。同社は地下水の供給・貯留・長距離輸送インフラの整備を主軸に、飲料水の有害成分を除去するフィルター製品や自社農地での農業経営も行っています。
主要な顧客は地方の公営水道や地域卸売水機関、上下水道事業者、自治体や工業利用者などで、長期の水供給契約やフィルター機器の販売が収益源になっています。同社は北部パイプライン容量の約85%に相当する供給契約を締結しており、農業収入とフィルター事業の売上を得ながら、導水管などの建設資金を外部投資や株式発行で調達しています。
事業は大きく土地・農業、地下水供給・貯留、導水インフラ(北・南のパイプライン)、水フィルター技術の四領域に分かれます。農業とフィルター事業は現時点で収益を生んでおり、供給・貯留・導水の各資産は許認可を得つつ開発段階にあり、完成後は長期供給契約や貯蔵サービスでの収益化を目指しています。
経営方針
同社はモハーヴェ地下水バンクを中核に、土地・水供給・貯留・導水の資産を開発して収益化することで成長を図っています。北部導水路(Northern Pipeline)の処理能力は年間約25,000エーカー・フィート(AFY)で、既に公的水道事業者との間で合計21,275 AFYの供給契約を締結しており、これはフル容量の約85%に相当します。導水路と関連施設を稼働させるための資本コストは約8億ドルと見積もられており、短期的には2025年3月の公募による純収入約1,830万ドルや既存の現金で当面の運転資金を賄う計画ですが、長期的には追加の資金調達が必要となる可能性がある点を同社も認識しています。
重点投資分野は大きく分けて(1)導水・貯留インフラの整備、(2)農業資産の育成による安定収入、(3)水処理技術の事業化です。差別化の源泉として同社は資産ポートフォリオを統合的に提供できる点を挙げており、例えば買収したATECのろ過技術は鉄・マンガン・砒素・硝酸塩・六価クロムなど健康リスクとなる成分の除去に特化しています。資金面では2024年末時点で借入金約6,060万ドルを抱えており、追加で新たな転換社債型の融資や株式発行を行って資金調達を進める方針をとっています(資本コストは一部で年率約7%の利息負担が想定されています)。
新市場開拓と事業拡大では、施設所有者としての役割に資本参加する形でMGSC(Mojave Groundwater Storage Company LLC)を設立し、建設資金を外部投資家から調達するモデルを採っています。2025年時点で投資家との間に最大約4.25億ドル分の意向表明や合意書があるものの非拘束であり、これを確定させてパイプライン建設を2025年から本格化させる計画です。加えてATEC事業は2025年に既存資本と営業利益での自立を目指しており、資産譲渡に伴う5,100万ドルの受領やプロジェクト開発費の払い戻しも資金計画に影響を及ぼす可能性があります。
技術革新面ではATECの水処理技術を中核に、現場仕様に合わせたろ過装置の製造・販売を推進しています。同社は買収後の業績に応じて支払う有条件対価の一部を設定するなど販売連動のインセンティブを取り入れており、製品販売の拡大が技術投資と収益化を同時に後押しする設計です。人材面では小規模な組織で経営陣と現場の距離を近く保ち、年間評価や役員との協働機会を通じて技術・事業開発を支える体制を整えており、上級管理職の約55%が女性である点から多様性も重視しています。