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Cardlytics, Inc.CDLX
事業内容
Cardlytics, Inc.は銀行や加盟店が保有する購買データを活用して、消費者に割引やリワード付きの広告を届けるコマースメディアプラットフォームを運営しています。 同社は金融機関のデジタルバンキング画面で広告やオファーを表示するCardlyticsプラットフォームと、店舗の販売データを使って顧客の識別や効果測定を行うBridgプラットフォームという二本柱で事業を展開しています。
同社の主要な顧客は広告主(マーケター)で、広告主からの手数料やキャンペーン費用が収益の中核になります。 同社は広告主に対して月次で利用に応じた請求を行い、得た手数料の一部を金融機関パートナーや消費者向けのインセンティブ支払いに充てる仕組みで収益を上げています。
同社のCardlyticsプラットフォームは、匿名化した購買データを基にユーザーごとに最適なオファーを配信し、広告投下が実際の店舗・オンライン売上にどれだけ貢献したかを「クローズドループ」で測定する点が特徴です。 Bridgプラットフォームはクラウド型の顧客データ基盤をサブスクリプションと導入・運用支援で販売し、契約期間に応じた定期収入と超過利用に基づく従量収入を得るモデルで、広告主が自社データを外部チャネルまで活用して顧客接点を広げるのを支援しています。
経営方針
同社は売上と請求(ビリング)の回復と拡大を目指しています。2024年の売上は278.3百万ドルで前年の309.2百万ドルから減少し、同年の請求額は443.8百万ドルと2023年の453.4百万ドルから減少しましたが、経営陣はFI(金融機関)パートナーやマーケターの獲得・定着を通じてこれらの数値を持ち直すことを優先課題としています。主要顧客への依存を下げるため、上位5社の売上比率が2024年で16%にとどまる点(いずれの顧客も単独で10%超ではない)を活かし、顧客基盤の多様化を図ることも明確な狙いです。
同社はデータとパートナー網への投資を重点分野としています。Cardlyticsプラットフォームは金融機関の匿名購入データを通じて銀行アプリ内でマーケティングを届ける点が差別化要因であり、Bridgプラットフォームは店舗のPOS(販売時点)データを用いた顧客同定・分析に強みがあります。パートナーには請求に応じた一定割合(交渉に基づく固定比率)を支払う「パートナーシェア」モデルを採用しており、これによりマーケターにとって費用対効果を可視化する「クローズドループ測定」を提供していることが他社との差別化につながっています。
同社は新市場の開拓や事業拡大を買収と提携の両面で進めています。2024年には転換社債の発行で純収入約166.8百万ドル、普通株式の発行で約48.6百万ドルを調達し、既存債務の整理(2020年転換社債の買戻し等で約169.3百万ドルを支払うなど)と成長投資に注力しました。米国と英国が主戦場ですが、FIパートナーや加盟店データ提供者を増やすことで業種横断(日常消費、小売、飲食、旅行等)でのマーケティング需要を取り込み、追加の買収・提携による機能拡充も模索しています。ただし、買収統合や主要マーケターの喪失などリスク管理を並行して行う方針です。
同社は技術革新に継続投資し、インフラとデータ処理能力の強化を目指しています。Bridgのクラウド型顧客データ基盤やCardlyticsの分析エンジンを強化し、商品レベルの購買データを使った精度の高いターゲティングと測定を推進しています。一方でインフラ拡張には時間と費用がかかり、将来の技術や環境に適合させるために内部の導入・サポート体制を拡大する必要があることも認識しており、信頼性・プライバシー保護を維持しつつ効率的にスケールさせることを重視しています。