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Coeur Mining, Inc.CDE
事業内容
Coeur Mining, Inc.は金と銀を中心に採掘・生産する貴金属会社で、北米とメキシコに複数の採掘拠点を持ち、金銀の粗地金や金の濃縮物を生産しています。同社は安定したキャッシュフローと成長を重視し、採掘から加工・販売まで一貫して事業を行っています。
同社は精錬業者や大手銀行、貴金属取引業者などに完成した金銀地金を販売し、ケンジントンからの金濃縮物は長期販売契約で出荷しています。業績は金・銀の市場価格に大きく左右されるため、必要に応じて価格変動リスクを管理する金融派生商品(ヘッジ)を活用しています。
事業セグメントは主要鉱山ごとに分かれており、メキシコのパルマレホ複合鉱山、ネバダのロチェスター(露天・ヒープリー チング)鉱山、アラスカのケンジントン(地下)鉱山、サウスダコタのワーフ(露天)鉱山、最近買収したメキシコのラスチスパス(地下)鉱山などを稼働させています。加えてカナダのシルバーティップは探査・開発プロジェクトとして保有しており、同社は各鉱山で得た粗地金を第三者精錬業者に精錬してもらい、世界の顧客に供給しています。
経営方針
同社は多角化された資産ポートフォリオを通じて「持続的で高品質なキャッシュフロー」を創出しながら成長することを目指しています。直近では2024年にロチェスターの拡張を完了し、同年の実際の販売量は金が約33万千オンス、銀が約977万オンスに達しました。資金面では2024年12月末時点で現金は約5,690万ドル、当座融資枠(RCF)で175.7百万ドルの利用可能残高があり、2024年2月の改定でRCFは最大4億ドルまで引き上げられる余地が設けられています。2024年の対処的な設備投資は約1.832億ドルで、その多くはロチェスター拡張に充てられました。
同社は資源の質向上とコスト管理に重点投資を行い、鉱山ごとに明確なコスト目標を掲げることで差別化を図っています。たとえば2025年ガイダンスではラス・チスパスの金生産を約52,000オンス、パルマレホを約100,000オンスと見込み、金のコスト目標はラス・チスパスで850–950ドル/オンス、パルマレホで950–1,150ドル/オンス、ロチェスターで1,250–1,450ドル/オンスなど鉱山別のレンジを設定しています。これにより鉱山タイプ(露天・地下)や地理的分散(米国、メキシコ、カナダ)を活かして価格変動や供給リスクに耐えるポートフォリオ運営を目指しています。
新規市場開拓と事業拡大は買収と探索投資を軸に進めています。直近では2025年2月にSilverCrestの買収を完了し、同社株式約2.393億株を発行してラス・チスパスを取得しました。またカナダのシルバーティップ鉱区向けに、流通型株式(フロー・スルー株)で約2,370万ドルを調達し探索・評価を進めるなど、既存資産の拡張と新鉱区の資源化に資金を振り向けています。一方で買収統合に伴う追加費用や統合リスク、税制や現地許認可の変化などの不確実性も明確に認識しており、それらを管理しつつ成長を図る方針です。
技術革新では生産性と安全性の向上、及び環境・データ管理に対する投資を重視しています。鉱山運営では浸出パッドや長期在庫の回収率管理が重要で、同社はこれら資産の評価・改善に注力しており、浸出パッド残高は2024年末で約1.99億ドルに上ります。また従業員育成や安全文化の強化にも取り組み、現場監督者向けのIMPACT研修は累計約22,500時間・約200名に実施され、2023年には総合的な健康プログラムも導入しています。加えて情報技術や運用技術のリスク管理、サイバーセキュリティ対策や保険の整備を進めることで、事業継続性と効率改善を両立させようとしています。