Clear Channel Outdoor Holdings, Inc.CCO

時価総額
$9.9億
PER
屋外広告の米国大手。デジタル大型ビルボードとデータ解析サービスRADARを展開。2025年2月にメキシコ、ペルー、チリ事業を売却。2024年12月31日時点で掲出物6万1,800点超を保有、米国全土と空港で展開。

事業内容

Clear Channel Outdoor Holdings, Inc.は屋外広告を主力とする企業で、道路沿いや街頭、交通施設、空港などに設置する大型看板やデジタルディスプレイのネットワークを運営しています。同社は表示のデジタル化やクリエイティブの自動化、QRコード等を使ったトラッキングなどで広告の即時性と効果測定を高めています。

同社の顧客は地域の中小広告主から大手ナショナル広告主、広告代理店まで幅広く、顧客規模に応じて専任営業や代理店向けチーム、インサイドセールスやセルフサービスを使い分けています。収益は主に広告枠の貸出とキャンペーン運用、さらにデータ・計測サービスから成り、特にデジタル表示は在庫比は小さいものの収益への寄与が大きくなっています(米国では約8%の在庫で約41%の収益を生んでいます)。

事業は主に米国向けの「America」セグメントと空港向けの「Airports」セグメントで展開し、全体で約6万1,800件の印刷・デジタル表示を運営しています。加えて、在庫管理や電子注文、設置の最適化、リアルタイムの実績報告を可能にするツール、自社データソリューション(RADAR)などで広告主の企画・出稿・計測を支援しています。

同社はデジタル化と顧客中心主義、業務の実行力向上を成長戦略の柱に置き、買いやすさと計測性の向上で広告主の新たな予算を取り込もうとしています。新規掲出には許認可やゾーニングなど規制上の制約が伴うため、既存資産の効率化とデジタル転換による収益性改善に注力しています。

経営方針

同社は持続的な収益成長と財務の強化を両立させることを成長戦略の中心に据えています。具体的には海外事業の売却を進め、得られた資金で借入金の繰上げ返済や流動性改善を図ることでレバレッジを低減することを目指しています。最近では2025年1月に欧州北部事業を6.25億ドルで売却する合意を行い、その純収益の一部でCCIBVのタームローン375百万ドルを完済する計画を示しています。また、メキシコ・ペルー・チリ事業は2025年2月に売却を完了し、20百万ドルの即時現金と最大でさらに1.25百万ドルのアーンアウトを受領する見込みです。

同社は投資の重点をデジタル化と顧客基盤の強化に置き、他社との差別化を図っています。デジタル資産の拡大は重要な差別化要因で、2024年末時点で米国の在庫の8%がデジタルながら米国収益の41%を生み出しており、同社はこの収益性の高い分野への追加投資を優先しています。さらに、位置情報を匿名化して活用する自社のデータ解析サービス「RADAR」やプログラマティック(自動購入)対応など、広告効果の可視化とターゲティング精度向上に資金と人材を投入し、広告主にとって「使いやすく測定しやすい」媒体にすることを目指しています。

同社は新規市場開拓や事業再編でも具体的な行動をとっています。2023年にスイス、イタリア、フランス事業を売却したほか、スペインやブラジルの売却交渉も継続中で、これらの取引によって事業ポートフォリオを米国中心に集中させる方針です。同社はこうした再編により米国での市場投入を加速し、空港や主要都市圏といった高接触・高インパクトのロケーションでの展開を強化していくことを目指しています。将来的な選択肢として不動産信託(REIT)への転換も検討可能なように財務柔軟性を高める意図を示しています。

同社は技術革新と業務効率化にも積極的に取り組んでいます。運用面では在庫をリアルタイム管理するシステムの導入、電子受注やセルフサービスの検討、クリエイティブ仕様の自動化やQRコードによる素材追跡、キャンペーンの実績確認をスマホ等で即時に行う「Clear Access」アプリなどを導入し、営業から納品、請求までのスピードと正確性を高めています。資本面では2024年の継続事業に対する設備投資が約8,071万ドルで、全体では約1.42億ドルを投じており、今後もデジタル掲出物の追加やシステム改善に資本を振り向けることで収益性向上を狙っています。