Chemours CoCC

時価総額
$15.7億
PER
高機能化学製品の世界最大手。TiO2顔料、冷媒、テフロンなどフッ素系高機能材料を展開。2023年8月にグリコール酸事業を約1.37億ドルで売却、同年に燃料電池膜でジョイントベンチャーを設立。世界約110カ国で顧客約2,500社、主要生産拠点28カ所で展開。

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企業概況
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同業種の日本企業
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事業内容

Chemours Coは、主に性能化学品を手掛ける企業で、冷媒や空調向けの熱管理材料、白色顔料である二酸化チタン、そして高機能のフッ素系材料などを主力製品としています。これらは冷却や塗料、プラスチック、半導体、輸送など幅広い分野で製品の性能や耐久性を高めるために使われています。

主要顧客は家電・自動車・塗料メーカー、半導体装置メーカー、化学・石油関連などの製造業者で、同社は世界約110カ国で約2,500社に製品を供給しています。収益は大量需要に応える二酸化チタンのような基礎製品と、用途特化の高付加価値製品の両方から成り、長期の取引関係や直接販売を中心に安定した売上を確保しています。同社の売上は特定顧客に依存しておらず、2024年末時点で単一顧客が売上の10%を超えていません。

事業は三つのセグメントで構成され、冷媒や特種溶剤などを扱う「サーマル&特殊ソリューション」、二酸化チタンを中心とする「チタニウム・テクノロジーズ」、フッ素系高機能材料や潤滑剤、膜などを扱う「アドバンスド・パフォーマンス・マテリアルズ」に分かれています。各セグメントは世界各地の生産拠点と技術センターを通じて顧客の用途に合わせた材料と技術サポートを提供しています。

経営方針

同社は「Pathway to Thrive」と名付けた戦略で株主価値の創出を目指しています。成長の基本方針は、業務運営の効率化によるコスト削減と、キャッシュ創出を通じた選択的な成長投資の両立です。具体的には標準化や業務改善で安定的な収益基盤を固めつつ、投資は「高収益・低リスク」の案件を優先し、自己資金と事業からのフリーキャッシュフローで賄う方針を掲げています。財務面では2024年11月に満期2033年の無担保社債600百万ドル(実受取額約591百万ドル)を発行するなど資本確保を進め、同年末までに識別された内部統制上の弱点も是正済みとしてガバナンス強化に取り組んでいます。

重点投資分野はデータセンター向け冷却、次世代冷媒、半導体製造用の素材など、需要が拡大する応用領域へのシフトです。同社は従来の「製品」中心から用途別の「アプリケーション」中心へとポートフォリオを転換し、高成長かつ高マージンが期待できる市場を狙っています。差別化の源泉は長年培った材料・フッ素化学の技術力、複雑な製造設備の運用能力、顧客との長期的な関係にあり、燃料電池用膜の生産能力強化を目指すジョイントベンチャー設立など、顧客ニーズに直結する供給体制の構築を進めています。

新市場開拓と事業再編は並行で進められています。同社は世界に28カ所の主要生産拠点を持ち、約2,500社の顧客に約110カ国で製品を供給しており、地域的な供給網や共同生産を活用して市場参入を加速させています。一方で非中核事業の切り離しも実行しており、2023年にはグリコール酸事業を約1.37億ドルで売却して資金を回収しました。こうした資産の入れ替えと設備最適化により、成長投資に回す資本を確保することを目指しています。

技術革新への取り組みでは、研究開発と知的財産の強化を明確に打ち出しています。同社は技術センターと研究拠点をグローバルに維持し、学術機関や業界コンソーシアムと連携して材料開発を進めており、特許保有は約4,050件、出願中が約1,420件と多くの知財を抱えています。デジタル化やサイバーセキュリティ面でもNIST準拠の対策を進め、基幹システム(ERP)の刷新検討や内部統制の強化を通じて、技術投資の実行と安全な運用を両立させることを目指しています。