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事業内容
Carrier Global Corporationは、空調・冷凍・コールドチェーン向けの機器とそれに紐づくデジタルライフサイクルソリューションを世界的に提供する企業です。主力は住宅・商業・産業向けの空調機器や輸送用冷凍装置、さらに点検・保守を含むアフターサービスで、ビル向けのクラウドプラットフォームAboundや冷蔵物流向けのデジタルプラットフォームLynxといったデジタル製品も展開しています。
同社の顧客は住宅所有者やビルオーナー、商業施設、食品・医薬品の物流事業者や輸送会社など多岐にわたり、製品販売に加え設置、定期保守、交換部品、予防保全やオンデマンド修理、デジタル監視サービスなどで収益を上げています。特にアフターマーケットとデジタル化によるライフサイクルサービスの成長が収益の安定化と拡大の重要な柱になっています。
同社は事業をHVAC(暖房・換気・空調)と冷凍・冷蔵の二つのセグメントで展開し、CarrierやViessmann、Toshibaなどのブランドで空調機器、熱ポンプ、コンプレッサー、輸送用冷凍ユニット、環境配慮型冷媒や家庭向けのエネルギー管理ソリューションを取り扱っています。加えて監査・設計・施工・システム統合や保守サービスを提供し、買収や提携による製品ポートフォリオ拡充と持続可能性を重視した技術投資でグローバル展開を強化しています。
経営方針
同社は中長期での収益拡大と持続可能性両立を成長戦略の中心に据えています。具体的には、2030年までにインテリジェントな気候・エネルギーソリューション開発に向けて40億ドル以上を投資し、事業活動のカーボンニュートラル化を目指しています。また顧客側での温室効果ガス削減累計1ギガトン超の回避や、社内のエネルギー強度を2030年までに10%削減するという数値目標を掲げ、製品設計からアフターマーケットまでを通じたライフサイクルでの売上拡大を狙っています。
重点投資分野としては、住宅・商業・産業向けの省エネ機器、自然冷媒や高温用ヒートポンプ、さらに住宅向けの太陽光・蓄電池を含むコネクテッド・エコシステムへ注力しています。同社は製品単体だけでなく、交換部品、予防保全やオンデマンドの修理、デジタル監視といったアフターマーケットサービスを強化することで差別化を図っています。加えて、ベンチャー投資子会社Carrier Venturesを通じて外部の革新的技術に出資し、製品ラインアップとソリューションの幅を広げています。
新市場開拓と事業拡大では、買収と選択的な資産売却を組み合わせたポートフォリオ再編を推進しています。2024年1月にViessmannの気候ソリューション事業(VCS)を取得し、これにより完全なエネルギーソリューションをグローバルに提供するポジションを獲得しました(VCSの2024年売上は約32.7億ドル)。同社は過去にAccess SolutionsやIndustrial Fireなど複数事業を売却し合計で数十億ドルを調達しており、その資金を借入返済、成長投資、株主還元(現在の自社株買い枠は最大71億ドル、2024年末時点で約32億ドルの余裕)に充てる計画です。なお、短期・長期の債務償還スケジュールや年間利払見込み(約4.2億ドル)を踏まえ、財務の安定性を確保しながら事業拡大を図っています。
技術革新では「デジタルでつながるライフサイクルソリューション」を旗印に、クラウド型の建物データプラットフォームAboundや、AWSと協働開発した冷凍チェーン向けプラットフォームLynxなどを展開しています。これらは稼働データを活用した予知保全や運用最適化を可能にし、アフターマーケット収益と顧客の密着度を高めます。同社は約1万2千件の特許ポートフォリオと継続的な研究開発投資を持ち、サプライチェーンの強靭化(複数供給先や現地生産の推進)とサイバーリスク管理体制の強化も並行して進めることで技術面・運用面での優位性維持を目指しています。