AVIS BUDGET GROUP, INC.CAR

時価総額
$44.6億
PER
車両レンタル・モビリティサービスの最大手。カーシェアリング(Zipcar)やコネクテッド車両、電動車両中心のフリートを展開。2023年9月にスコットランドのMcNicollを約1,700万ドルで買収。世界24,000人規模で米国・欧州・豪州中心に展開。

事業内容

AVIS BUDGET GROUP, INC.は世界規模で自動車のレンタルとモビリティサービスを展開する企業で、短期レンタカーや会員制のカーシェアリングを主力サービスとしています。同社は空港や都市部を中心に車両を貸し出し、旅行や出張、法人の一時的な移動ニーズに応えています。

主要な顧客は観光客や出張者といった個人利用者に加え、法人顧客やフリート管理を必要とする企業、そしてカーシェアの会員です。同社の収益は主にレンタル料金と保険・追加オプションなどの付帯収入で成り立っており、加えて車両の売却やフランチャイズ・ライセンス料なども重要な収入源です。

事業は大きくAmericasとInternationalの報告セグメントに分かれており、AvisやBudgetに加えてZipcarなど複数のブランドやサービスラインを運営しています。同社は車両の調達・整備・再販を一体で管理する仕組みを持ち、コネクテッド車両や電動化、法人向けフリート管理やカーボンオフセットといった新たなモビリティ関連サービスにも投資しています。

経営方針

同社は株主価値の向上を目指しています。具体的には自社株買いを積極的に行っており、2012年の計画以降の買戻し枠は約81億ドルで、直近の3年間(2022〜2024年)で合計2,160万株・約42億ドルを取得しました。2024年末時点で買戻し枠の残りは約7.57億ドル、発行済株式数は2025年2月7日時点で35,110,440株となっており、配当は経営判断と借入契約の制約次第で実施されます。こうした資本配分施策と並行して、売上拡大や収益性改善を通じて長期的な成長を実現することを目標に掲げています。

同社は運用効率とサービスの差別化を図るため、フリートの近代化と顧客向けソリューションへの投資を重点としています。具体策として、保有する車両は原則として現行年式と前年度モデルを中心に入れ替え、整備と予防保全を強化して稼働率と回転率を改善しています。また、低燃費車やハイブリッド、電気自動車の提供をほぼ全拠点で進め、法人向けにはカーボンオフセットなど環境対応サービスを提供して差別化を図っています。加えて、コスト構造の見直しとして「グローバル・ライトサイジング」などの施策を実行し、2024年に関連費用として約3,600万ドルのリストラ費用を計上するなど収益基盤の強化に取り組んでいます。

同社は新市場の開拓と事業拡大を着実に進めています。買収による地域拡大の例として、2023年9月にスコットランドのMcNicoll Vehicle Hireを約1,700万ドルで取得し、北米でもライセンシーの取得(約1,400万ドル+取得フリート約2,000万ドル)を行うなど、地域ごとのプレゼンス強化を図っています。直近では国際部門に約8,000人、全社で約24,000人の従業員を擁し、フランチャイズやライセンス契約、空港を含む拠点ネットワークを活用して法人顧客や都市型のモビリティ需要を取り込む戦略を進めています。

同社は技術革新の推進を重要施策と位置づけています。カーシェアリングブランドのプラットフォーム改善(会員アプリや車両内通信機器、予約・フリート管理システムへの投資)や、車両の接続機能を活用したデータ分析による運用最適化に注力しています。また、車両・接続技術に関する特許出願やサイバーセキュリティ対策の強化(国際基準に基づく運用やカード情報保護の遵守)を行い、顧客データの安全性を確保しつつ新たな収益源の創出を目指しています。さらに、金利や為替、燃料価格の変動に対しては先物やスワップを活用したリスク管理を行い、収益の安定化を図っています。