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CAPRICOR THERAPEUTICS, INC.CAPR
事業内容
Capricor Therapeutics, Inc.は、細胞治療や関連する生物医薬技術の研究・開発を行うバイオ企業で、特にデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)向けの細胞治療候補薬deramiocel(CAP-1002)の開発を主力にしています。同社はエクソソームなど次世代プラットフォームの研究も進めており、臨床試験から商業化に向けた体制整備に取り組んでいます。
同社の主要な顧客は将来的に承認後に治療を導入する医療機関や流通パートナー、最終的には保険者や患者層になります。現時点では製品販売による安定収益は限定的で、提携先とのライセンス料や前払金、マイルストーンの受領、将来の売上分配を通じて収益化を目指しています(例:Nippon Shinyakuとの販売・流通契約)。
事業は大きく臨床開発、製造準備、商業化支援のセグメントに分かれており、各段階で自社設備と外部委託を併用しています。製品ラインはderamiocelを中心に、研究段階のエクソソームプログラムや臨床試験関連サービス、地域別の販売・供給契約管理が含まれます。
経営方針
同社は成長の最優先事項として主力候補のデラミオセル(deramiocel)を早期に規制承認および商業化に結びつけることを目指しています。これに伴い2025年の同プログラム向け支出を約4,000万〜5,000万ドルと見込んでおり、製造能力の拡大(CMC拡大)、製品在庫の構築、臨床・規制・プレコマーシャル費用に重点的に投資する計画です。資金面では、2024年10月の公募で約5,073,800株を1株17ドルで発行し総額約8,630万ドルを調達、同年9月には日本のNippon Shinyakuから約1,500万ドルの私募を受けるなど、自己資本や市場性の高い手段で運転資金を確保しており、同社は中長期で商業収益化を実現することを目指しています。
同社は重点投資分野をデラミオセルによるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療と、エクソソームを用いたワクチン・治療法の二本柱に置いて差別化を図っています。エクソソーム関連は前臨床段階ですが、2025年に約500万〜750万ドルを投じてプラットフォーム拡張やStealthX™ワクチンの製造を進め、NIAIDとの共同研究など公的機関との連携で技術優位性を高める方針です。管理部門への投資も進めており、2024年の一般管理費は前年比で約210万ドル(16%)増加しており、その内訳は株式報酬増約70万ドル、人件費増約70万ドル、オーバーヘッド増約50万ドルなどで、組織の人員拡充と制度整備により臨床開発と商業化準備を支えています。
新市場開拓と事業拡大では、同社は戦略的パートナーシップと地域別の流通体制構築を重視しています。既にNippon Shinyakuとの米国・日本向けの商業化・流通協定や欧州向けの条件書(term sheet)を進めており、これを通じて発売後の販売網を確保することを目指しています。また臨床データ次第では追加の提携やライセンス供与で資金や市場アクセスを拡大する計画ですが、将来の株式発行や転換証券の交付により希薄化が生じる可能性があるため、資本調達と提携を両輪で進める方針です。
技術革新への取り組みでは、同社は製造技術とプラットフォーム開発に継続投資しています。具体的には商業規模製造のための設備投資や品質管理体制の整備を進めるとともに、StealthXワクチンなどエクソソーム工学の選択的強化を行っています。加えて上場会社としての統制強化にも取り組んでおり、サーベンス・オックスリー関連の内部統制整備やサイバーセキュリティ監督委員会の設置を進めてリスク管理を強化することで、技術開発と事業運営を安定的に両立させることを目指しています。