CARDINAL HEALTH INCCAH

時価総額
$496.5億
PER
医薬品・医療用品の流通・製造の米国最大手。特殊薬や放射性医薬、在宅医療用品、サプライチェーン物流を展開。2025年にGIAを約28億ドル、ADSを約11億ドルで買収。CVSが売上の30%を占め、オピオイド和解で約49億ドルを引当。米国中心にカナダ・欧州・アジア展開。

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企業概況
105文字)
業績概況
テーマ
ブランド
ライバル企業
4社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

CARDINAL HEALTH INCは、医薬品と医療用品の流通・製造を中心に事業を展開する企業です。同社は病院や薬局向けにブランド品やジェネリック、がんやリウマチなどの専門領域向けの特殊薬を配送するとともに、自社ブランドの手術用ガウンや手袋、創傷ケア用品などの医療消耗品も製造・販売しています。

同社の収益は主に製薬流通の手数料や医療製品の販売から生まれています。大口顧客への依存度が高く、例えばCVS Healthが約30%を占め、上位5社で約43%の売上を占めています。

事業は大きく薬剤流通を担うPharma部門と、医療用品の製造・流通を行うGMPD部門に分かれており、その他に放射性医薬品、在宅向け医療用品の供給、医療向け物流ソリューションなどの事業も展開しています。Pharma部門はメーカー支援や薬局管理、専門診療向けの運営支援などのサービスを行い、GMPD部門は自社ブランド製品や手術キットの組立てといった比較的高い利幅の製品を中心に扱っています。

経営方針

同社は成長の柱を「強い流通基盤を維持しつつ、高付加価値の専門サービスを拡大すること」に置いています。2025会計年度の連結売上高は約2,226億ドル、同年のGAAP一株当たり利益は6.45ドル、非GAAPでは8.24ドルと、それぞれ前年から改善しています。資本配分では、2025会計年度に約53億ドルをM&Aに投じるなど積極的な投資を続ける一方、配当(年間約2.02ドル/株)と自社株買い(2025年は約7.6億ドルを実行)で株主還元も継続しており、設備・技術投資として2026会計年度に約6億ドルの支出を見込んでいます。

重点投資分野は専門医療分野のマネージドサービス、在宅医療ソリューション、バイオファーマ向けサービス、及び自社ブランド製造です。具体策としては、消化器領域のGI Alliance(約28億ドルで73%取得)、地域オンコロジーのION(約11億ドル取得)、在宅糖尿病用品のADS(約11億ドル取得)など大型買収で「The Specialty Alliance」を構築し、NavistaなどのMSOプラットフォームで診療側の効率化と収益性改善を支援することを目指しています。また、Red Oak SourcingというCVSとの共同調達や、Wavemarkによる在庫自動化などを通じて調達・物流面での差別化を図っています。

新市場開拓と事業拡大は買収を中心に進めています。同社は既存の卸売・製造事業に加え、MSOや専門領域のGPO(グループ購買組織)、在宅ケア、核医薬(放射性医薬品)など隙間の大きい分野へ展開し、ADSの年間約50万人の患者基盤やGIAの900名超の医師ネットワークといった顧客接点を取り込むことで、新たな収益源を育てることを目指しています。買収資金は手元現金と2025年に調達した約29億ドルの社債などで賄っており、将来的にはGIAの残り株式を取得するコール権の行使など段階的な完全統合も想定しています。

技術革新への取り組みとしては、サイバーセキュリティの強化(専任CISOの下での侵入試験・訓練・外部評価の活用)や、在庫管理・物流の自動化(Wavemark、OptiFreight®の技術活用)、患者支援やデータ解析を組み合わせたSonexusやリアルワールドデータの活用を進めています。同社はこれらの技術投資を通じてサプライチェーンの効率化や臨床支援サービスの拡充を目指しており、2026会計年度の約6億ドルの設備・技術投資の中でこれらが重点的に配分される見込みです。