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BROADWIND, INC.BWEN
事業内容
Broadwind, Inc.は、クリーンテクノロジーや産業用途向けの大型構造物や機器、精密部品を手がける製造会社です。同社は大型の鋼製塔や重溶接・厚板加工、歯車やギアボックスの製造・修理、プロセス装置や圧縮天然ガスユニットなどを主力製品として供給しています。高い品質基準を求める顧客向けに高付加価値の製品を提供しています。
同社の主要顧客は風力タービンメーカーやギアボックス再製造業者、石油・ガス、ガスタービン、鉱業などの産業向けメーカーで、2024年は上位5社で売上の約73%、風力分野が約44%を占めています。販売は直販を中心に一部代理店を補完し、原材料の所有権を持ちながら原材料費を顧客に転嫁して加工マージンを得る形で収益を上げています。受注生産が基本で、契約条件により売掛金や在庫など運転資本が四半期ごとに変動する点が特徴です。
同社は事業をHeavy Fabrications、Gearing、Industrial Solutionsの三つのセグメントで運営しており、Heavy Fabricationsでは風力塔や更新用アダプターなどの大型製品、Gearingでは高精度の歯車・ギアボックスの製造・修理、Industrial Solutionsではプロセス機器や仮想パイプライン向けのユニットや組立・キッティングを展開しています。各拠点での製造能力や品質管理(ISO認証や航空向け認証の取得など)を活かして稼働率向上と顧客・製品の多角化を進め、必要に応じて買収や設備投資で成長を図っています。
経営方針
同社は成長戦略の中核として「顧客・製品の多様化」と「製造能力の有効活用」に注力しています。具体的には、2019年に上位5社で売上の79%を占めていたのを、2024年には73%に削減し、同年の風力分野売上比率も66%から44%へ低下させるなど顧客依存度の緩和を進めています。さらに、タワー生産能力は年間最大約550基(セクション換算で約1,650セクション、3MW換算で1.7GW超相当)を確保しており、稼働率向上で売上の大幅拡大を図る計画です。経営成果に直結させるため新規顧客・新製品の売上を変動報酬の指標に組み込んでいます。
同社は重点投資分野として重厚な鋼構造加工(Heavy Fabrications)、ギア製造(Gearing)、産業向けソリューションの3領域を挙げ、ここに設備投資と組織強化を集中させています。差別化は高精度加工、熱処理、特殊研削や溶接といった製造技術と、厳格な品質管理によって実現しており、全拠点でISO 9001:2015を維持、ギア部門は2024年8月に航空機向け要件を満たすAS9100Dを取得、さらに防衛顧客向けに国際武器規制(ITAR)登録も行っています。これにより、単なる低価格競争ではない「高付加価値領域」での受注拡大を狙っています。
新市場開拓では、風力依存を低減するために天然ガスタービン、石油・ガス、鉱業、軍需などの市場に深耕するとともに、仮想パイプライン向けの圧縮天然ガス供給ユニット(PRS)の新バリエーション開発を進めています。成長手段は既存の有機的投資と機会に応じた買収の併用で、買収基準は製造能力向上、稼働率改善、事業多様化や再生可能エネルギー分野への浸透支援などに絞っています。また、税務上の繰越欠損金(NOL)は2024年12月31日時点で約2.95億ドルと大きな資産であり、これを踏まえた投資実行で株主価値創出を目指しています。付随策として2025年・2026年の先行措置として、それぞれ最大$15,000、$20,000分の先端製造税額(AMPクレジット)売却契約を締結し、1ドル当たり$0.935での換金化を予定しています。
技術革新面では、新製品化を段階的に評価する「ステージゲート」プロセスを採用し(機会評価から商業化までの枠組み)、導入支援としてAdvanced Product Quality Planning(APQP:製品導入時の品質計画)を運用しています。生産面ではスケジューリングソフトやERP連携による工程管理、エンジニア組織の拡充、継続的改善担当者の配置などで前工程の効率化を図っており、これらの投資は歩留まり向上・納期短縮・コスト低減という形で差別化に寄与すると同社は見ています。経営はこれら技術・プロセス投資を通じて高付加価値案件の受注拡大と収益性改善を目指しています。