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Burford Capital LtdBUR
事業内容
Burford Capital Ltdは、訴訟や仲裁などの法的紛争を元に資金を供給する法務ファイナンスの専門会社です。同社は当事者や法律事務所に対して訴訟費用や弁護士報酬の資金提供や、将来の請求権の一部を現金化するモニタイズを行っています。大規模で複雑な案件を中心に、直接出資したり請求権を購入したりして、解決時の回収でリターンを得ています。
同社の顧客は大手企業、主要法律事務所、原告企業など幅広く、1件あたり数百万ドルから数億ドル規模の取引が多くなっています。収益構造は主に(1)訴訟の和解・判決・仲裁で回収した金額に対する配分、(2)第三者資金を運用する資産運用部門からの管理報酬や成功報酬、(3)訴訟費用リスクに対する保険料や関連サービス料で成り立っています。案件が無価値に終われば投入資本を失うリスクがある点も投資家は押さえておく必要があります。
事業は大きく「Principal Finance」と「Asset Management and Other Services」の二つのセグメントに分かれています。Principal Financeは同社の自己資本で訴訟ポートフォリオを組成し、訴訟の前後を問わず個別案件やクロス担保ポートフォリオ、解決後の債権など多様な形態で資金を供給します。Asset Management側は複数のプライベートファンドとサイドカーファンドを運用して管理手数料・パフォーマンスフィーを稼ぎ、必要に応じて訴訟費用保険などの付随サービスも提供しています。
経営方針
同社は、バランスシートによる大型案件への資本供給(Principal Finance)と、サードパーティ資本を運用する資産運用(Asset Management and Other Services)の二本柱で成長を目指しています。2024年末時点の運用資産総額は約$3.5 billionで、設立以来のコミットメント総額は$11.2 billion超に達しています。成長資金の調達については外部資本の積極的活用を想定しており、自己資本ポートフォリオには債券市場などを使った適度なレバレッジをかけ、債務の平均満期を保有資産の想定平均寿命より長くすることでバランスを取る方針です。配当方針としては年合計12.50セント(半期毎支払い)を継続する見込みで、株主還元を維持しながらも配当の定常的な増加は想定していません。
同社は大規模で複雑な訴訟・仲裁案件を中心に資本を提供することを重点分野としています。1件あたりの投融資は原則として$5百万以上、場合によっては数億ドル規模にまで及び、訴訟の初期段階から和解後のモニタリングまで幅広く対応します。差別化の柱は規模と専門性で、47名の有資格弁護士を含む法務出身のチームが案件選別とリスク管理を行う点、訴訟費用の逆賠償リスクに対する自社保険会社(Burford Worldwide Insurance Limited)を用いた包括的なソリューションを提供できる点、さらに複数案件を束ねるポートフォリオ型の資金提供で損失リスクを低減する仕組みを持っている点です。また、プライベートファンドの運用手数料・成功報酬は2024年に合計約$8.34 millionの収入を生んでおり、バランスシート投資と運用ビジネスを併存させることで収益源を多様化しています。
新市場開拓や事業拡大に関しては、既にニューヨーク、ロンドン、シカゴの主要拠点に加え、湾岸やアジアの拠点も活用してグローバル展開を進めています。私募ファンドは2024年時点で8本、サイドカー型ファンドが3本稼働しており、ポスト・セトルメント(和解後)向けのファイナンスなど商品レンジの拡大も進めています。引き続き外部資本の積み上げを成長エンジンと考えており、AUMの増加や新たなファンド組成を通じて案件起源の拡大と収益基盤の強化を図る計画です。ただし、市場環境や資本調達コストの変動が業績や成長の実行可能性に与える影響は注意深くモニタリングしています。
技術革新とガバナンス面では、同社はサイバーセキュリティと内部統制の強化に具体的な投資を行っています。外部ベンダーによる年次の脆弱性診断と侵入テスト、クラウド環境の24時間監視を実施するとともに、サイバー事案発生時の対応フローを定めています。財務報告の正確性確保のために管理職によるレビューの証跡保全や新規ポリシー導入、操作手順の整備とオペレーター教育を実施しており、特定の内部統制の欠陥については2025年末まで継続的に是正状況を確認すると表明しています。併せて、2024年からはセグメント別開示を強化して事業ごとの主要指標を明確化するなど、透明性とリスク管理の両面での改善を進めています。