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- BioXcel Therapeutics, Inc.
BioXcel Therapeutics, Inc.BTAI
事業内容
BioXcel Therapeutics, Inc.は神経科学と免疫腫瘍学を中心に新薬の開発と一部の商業販売を行うバイオ医薬品企業です。同社は舌下投与の製品IGALMI®(BXCL501)を中心に、統合失調症や双極性障害に伴う急性の興奮(アジテーション)の治療や在宅での使用拡大を目指して臨床試験を進めています。
同社の主な顧客は病院やクリニック、介護施設、患者で、米国での販売は流通業者との契約を通じて行っています。収益構造は現在IGALMI®の製品売上が中心で規模は限定的である一方、研究開発と臨床試験への支出が大きく、資金調達は株式発行や借入などで補っているためキャッシュ管理が重要になっています。
事業は報告上は一つのセグメントにまとめられており、主力は神経科学領域の商業化と臨床開発です。同社は免疫腫瘍学での候補薬(BXCL701など)も保有しますが、製造や臨床運営は多くを外部委託に頼っており、最近はBXCL501に資源を集中させるため人員削減や優先順位の見直しを行い、開発と市場導入の実現を目指しています。
経営方針
同社は収益拡大と財務の安定化を目指しています。年次報告書では金額が千ドル単位で表示されており、2024年12月31日時点で現金は29,854(約2,985万ドル)、運転資本は15,161(約1,516万ドル)、株主資本はマイナス93,101(約9,310万ドル)と報告されています。製品売上は2024年に前年から約64%増の2,266(約226万ドル)となりましたが、同時に2024年の純損失は59,599(約5,960万ドル)と大きく、同社は支出削減や人員整理でキャッシュランを延ばしつつ、新たな収益源の確保を急いでいます。具体的施策としては、2023年8月の戦略的再編で約60%の人員削減を行い、さらに2024年にも追加の人員整理を実施して事業規模を絞り込みました。
同社は研究・開発投資を神経疾患と一部の腫瘍領域に集中することで差別化を図っています。中核はサブリンガルのデクスメデトミジン製剤(商品名 IGALMI)と、経鼻・経口などでの急性興奮状態治療を目指すBXCL501で、家庭内での使用拡大を狙う点が特徴です。一方で免疫腫瘍領域のBXCL701はオンコスクセル(OnkosXcel)を通じて維持・選別し、独自の作用機序で「冷たい腫瘍」に働きかける点を強調しています。知的財産にも注力しており、免疫腫瘍プログラムに関する特許群は主要国で出願・付与されており、特許存続は2036年や2039年以降と見込まれています。
同社は新市場開拓と事業拡大について、まずIGALMIの適応拡大を短期的目標としています。具体的には在宅での急性興奮治療を検証するSERENITY試験を進め、2025年3月時点で127例が登録されており、トップライン結果を2025年下半期に得て補助的新薬申請(sNDA)を目指す計画です。また、認知症関連の興奮に対するTRANQUILITYの第3相計画も進行中で、これらが承認に至れば在宅・施設内領域での市場拡大を見込んでいます。資金調達や事業提携も並行して模索しており、株式や債務の発行、OnkosXcelへの第三者投資、販売提携などで追加資金を確保する方針です。
同社は技術革新と開発効率の向上を通じて長期的な競争力を高めることを目指しています。外部の製造・臨床委託先を活用して製造スケールや試験実施力を確保するとともに、主要製品の製造技術移転を進めて商業化体制を整備しています。加えて、臨床結果やデータを基にした適応拡大、特許と規制上の独占期間の確保、学術や公的機関との連携(例:国防総省助成による研究支援)を組み合わせることで、技術的な優位性と実用化の両面から価値創出を図る方針です。