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Black Stone Minerals, L.P.BSM
事業内容
Black Stone Minerals, L.P.は米国で大規模な石油・天然ガスの鉱権やロイヤルティ権を保有・管理する企業です。 同社は自ら掘削を行う代わりに土地の鉱権を第三者にリースしてリース料や生産時のロイヤルティ収入を得ることで価値を最大化しています。
同社の収益は主にリースの前払い金(ボーナス)と産出に対するロイヤルティ、加えて一部の非操業の作業持分から成り立っています。 顧客は大手・中堅の開発会社であり分散した顧客基盤を持つ一方、PioneerやXTOのような主要顧客が一定割合を占める年もあり、価格や季節変動で収入が変わる点が投資リスクになります。
同社は約1,680万エーカーの鉱区を保有し、非コスト負担の鉱権・ロイヤルティ・上乗りロイヤルティなどを通じて長期的な現金収入を目指しています。 主要な資産はパーミアンやヘインズビル、バッケン、イーグルフォードなどの主要盆地に分布し、買収や権利交換でポートフォリオを補強しつつ、再生可能エネルギーや炭素隔離のようなエネルギー転換分野の活用も検討しています。
経営方針
同社は既存資産の価値最大化を通じて安定的な成長を図っています。具体的には、米国本土41州に約1,680万グロスエーカーの鉱区を保有し(保有比率は平均43.3%)、約7万1,000本の生産井からの収益を礎にしています。証券報告書では2024年末の推定確定埋蔵量を57,380 MBoeと開示しており、その約95%が既に開発済みであるため、同社は長期にわたる分配原資の安定化を目指しています。配当は四半期ごとに決定され、各四半期末から60日以内に支払われる方針を維持していますが、成長資金の確保にあたっては外部資本の活用も前提としており、最大10億ドルの信用枠を持つリボルビング型のクレジットファシリティを活用している点も成長戦略の重要な位置付けです。
重点投資分野として同社は「非費用負担型」の鉱区・ロイヤリティ資産の管理と、それを活用した掘削促進に力を入れています。これは自社で掘削費用を負担しない代わりに生産分の一定割合を受け取る権利を拡大する戦略で、Haynesville、Permian、Bakken、Eagle Fordなど主要オンショア資源層に集中していることが差別化要素です。2024年は主に未確認資産の取得に1.104億ドルを投じ、買収資金の大部分を信用枠と営業キャッシュで賄うなど、既存の地理的優位を補強する実行力を示しています。加えて、資産を有効に活用するためにリーシング条件を工夫して掘削を促すなど、単純な資産保有にとどまらない能動的な収益化を目指しています。
新市場開拓や事業拡大は、有望な既存ポジションの有機的成長を軸に、選択的な買収や権利交換で進めています。例えば2024年には東テキサスで約8,000ネットリースエーカーを取得する代わりにミシシッピ州の約51,000未開発ネット鉱区を譲渡する資産交換を実行し、地域的な掘削活動に即対応できるポジションの再編を行いました。将来的には再生可能エネルギーや二酸化炭素の地中貯留など、エネルギー転換領域での資産活用の可能性も検討しており、非効率な現金配当を抑えて成長投資に回す柔軟性を維持することで、新たな収益源の開拓を目指しています。
技術革新への取り組みとしては、埋蔵量評価の精度向上や運用リスク低減、セキュリティ対策が挙げられます。埋蔵量は独立系の石油技術者による報告で評価し、減価償却や減損判断に活用しているほか、土地権利の事前精査や権利関係の矯正作業を徹底して権利リスクを低減しています。加えてサイバーセキュリティ面ではNISTやISO等の基準を参照した対策を導入し、社員向け訓練や四半期ごとのフィッシング訓練、年次の外部ペネトレーションテストを実施するなど情報保護に投資しているため、運用のデジタル面と物理面の両方で事業継続性を高めることを目指しています。