Dutch Bros Inc.BROS

時価総額
$90.2億
PER
ドライブスルー中心のコーヒー・飲料チェーンの米国有力企業。手作りドリンクとモバイル注文、限定フードの試験導入を展開。2024年6月の二次売出しと共同創業者の74.8%の議決権維持が特徴。全米18州で982店舗展開。

事業内容

Dutch Bros Inc.は、主にドライブスルー中心のショップで手作りの飲料を素早く提供する小売業者兼フランチャイザーです。看板は高品質なコーヒーやエスプレッソ系の飲料を軸に、スピードと接客の良さで日常利用を狙ったサービスを展開しています。

同社の主要な顧客は通勤や買い物の合間に立ち寄る一般消費者で、店舗での飲料販売が売上の中心です。収益は直営店の売上に加え、フランチャイズ料やロイヤルティ、店舗向け商品の販売や限定グッズなど複数の柱で成り立っています。

同社の事業は大きく直営店とフランチャイズ店の二つのセグメントに分かれており、直営店での利益創出とフランチャイズからの継続的なフィー収入を両輪で拡大するモデルです。商品ラインはコーヒー・エスプレッソ系、フローズンドリンク、エナジー系や季節メニューが中心で、近年はモバイルオーダー導入や一部店舗での軽食試験などで顧客体験の幅を広げています。

経営方針

同社は店舗網の拡大と収益性の向上を目指しています。2024年末時点で米国内18州に982店舗を展開しており、その内訳は直営店670店、フランチャイズ312店です。業績面では2024年の調整後EBITDAが約2.30億ドル(売上高比18.0%)、純利益が約6,645万ドル(売上高比5.2%)となっており、直営とフランチャイズの二本柱で成長を図る戦略を取っています。短期的には出店を継続しつつ、直営店の効率改善とフランチャイズの高収益化で全体のマージンを高めることを目標としています。

同社は人材と店舗運営への投資で差別化を図っています。スピードと品質、接客を重視する企業文化のもと、ブロイスタ(店舗スタッフ)向けに2日間の文化研修と実地トレーニング10シフト、年2回の適性テストなど具体的な育成プログラムを導入しています。報酬面でも全社最低時給を10ドル以上に設定し、管理職向けに1年在籍後8週間超の育児休暇や、年間最大16時間の有給ボランティア時間など福利厚生を整備しています。これらは単なるコストではなく、現場サービスの維持・向上を通じて顧客ロイヤルティと出店拡大の両方を支える投資です。

新市場開拓や事業拡大では、フランチャイズ戦略と買収・パートナーシップの柔軟活用を想定しています。過去にはフランチャイズの再取得や戦略的な提携を行っており、今後も適切な案件があれば投資や買収を検討する姿勢です。ただし、組織再編や人員移転にも取り組んでおり、2024年には本社支援スタッフの約40%をフェニックスに移転させるなど組織体制のシフトを実行しています。この再編に伴う費用は2024年に約1,787.6万ドル計上され、2025年前半まで一時的なコストが続く見通しである点は投資家が留意すべき点です。

技術革新にはモバイル注文を中心に投資を進めています。2024年にモバイルオーダー機能を導入し、年内に95%以上の店舗で利用可能としたことは、店舗の回転率向上と利便性拡大につながる具体的施策です。加えて一部店舗でホットフードの試験導入も行っており、メニュー多角化とデジタル注文の組み合わせで客単価引き上げを狙っています。一方で、上場企業としての内部統制や財務報告システムにも大きく投資しており、これらの新システムが期待通りの効果を発揮しない場合や実装遅延が生じれば、報告やコスト面での影響が出るリスクがあることも公表しています。