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BRUKER CORPBRKR
事業内容
BRUKER CORPは高性能の科学機器と分析・診断ソリューションを開発・製造・販売しています。同社の主力は分子や細胞、微細構造を観察・解析する装置で、研究者や臨床現場、産業の品質管理で使われる画像や成分分析の機能を提供しています。
同社の顧客は大学や公的研究機関、製薬・バイオ企業、工業メーカー、臨床検査機関など多岐にわたります。収益は高額な装置の販売が中心ですが、保守・消耗品・ソフトウェアや受託分析、診断試薬などの継続的なサービス収入も重要で、特に高機能機器は受注から納品まで時間を要することが多いです。
同社は4つの事業セグメントに分かれ、幅広い製品ラインを展開しています。BSI BioSpinは磁気共鳴装置や前臨床イメージング、BSI CALIDは質量分析や分子診断、微生物検査向けの装置を扱っています。BSI NANOは電子顕微鏡やナノ計測ツール、BESTは超伝導線材や高付加価値の加速器・電力向け部材を手がけ、近年の買収で分子診断やラボ自動化の領域も強化しています。
経営方針
同社は選択的な買収と内製投資を組み合わせることで成長を図っています。具体的には、2022年から2024年までに合計28件の企業買収を実行し、2024年もELITechGroup、NanoString、Chemspeedなどの買収で製品領域を拡大しました。株主還元策としては、2023年5月に取締役会が2年間で最大5億ドルの自社株買い枠を承認しており、2024年12月31日時点で約3億6990万ドル分が残っています。配当は2022年以降四半期ごとに1株当たり0.05ドルを継続しており、同社はこれらを通じて安定した成長と株主還元の両立を目指しています。
同社が重点的に投資している分野は分子診断やライフサイエンス向け分析機器、ラボの自動化、そして超伝導材料のような高付加価値領域です。買収によって、例えばELITechGroupで分子診断、NanoStringで空間遺伝子解析や単一細胞解析の能力、Chemspeedでラボ自動化の技術を取り込み、既存の営業網やサービスインフラと組み合わせて差別化しています。加えて、基幹業務のデジタル基盤強化にも投資しており、グローバルな基幹業務システム(ERPや人事情報系)の刷新を数年計画で進めています。
新市場開拓と事業拡大は主に買収と既存チャネルの活用で進められています。2024年の個別案件ではNionの買収に約4,290万ドル、Spectral Instruments Imagingに約2,880万ドルを投じるなど、用途別に技術を補完する買収を行い、医薬・バイオ、産業材料、エネルギー分野へ横展開を図っています。販売面では北米・欧州・中国・日本に直販拠点を維持しつつ、アジアその他地域ではディストリビューターを活用して市場浸透を進める方針で、研究機関や製薬企業、産業顧客のニーズに沿ったソリューション提供を強化しています。
技術革新については、磁気共鳴や質量分析といった基盤技術の継続開発に加え、空間オミクスや単一細胞解析、前臨床イメージング、超伝導材といった次世代領域への積極投資を行っています。研究開発や製造は欧州・北米・アジアに分散したセンターで行い、買収で得た技術の速やかな製品化と商業化を重視しています。またサイバーセキュリティや内部統制の強化にも取り組んでおり、情報セキュリティ事故への対応計画を整備して経営リスクを抑えつつ、技術面ではコンピューティングやデータ解析の活用も進め、製品競争力の維持・向上を目指しています。