BROADRIDGE FINANCIAL SOLUTIONS, INC.BR

時価総額
$266.8億
PER
投資家向けコミュニケーションと金融機関向けSaaSソリューションの最大手。デジタルマーケティングツールやフロントからバックまでのトレード・ポストトレードプラットフォームを展開。2024年11月のSIS事業買収や2024年5月のデータ提供企業買収を実施。米国・欧州・カナダを中心に展開。

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企業概況
106文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
ライバル企業
3社)
同業種の日本企業
3社)

事業内容

BROADRIDGE FINANCIAL SOLUTIONS, INC.はグローバルな金融テクノロジー企業で、投資家向けの通信や証券処理、データと分析に基づく業務支援を中心に事業を展開しています。同社は株主向けの招集通知や投票集計、投資家への書類配信に加え、証券取引の処理や資産運用向けの運用・報告システムなどを主力サービスとして提供しています。

主要な顧客は銀行、証券会社、資産運用会社、年金・公的基金、独立系の金融アドバイザーや上場企業など幅広く、これら金融機関や発行体向けの継続的なサービス料や取引処理手数料が収益源になっています。同社は特に投資家通信や議決権関連の業務が売上の大きな割合を占めており、安定的な定期収入を確保しています。

事業は大きく投資家通信とグローバル技術・運用の二本柱で構成されており、投資家通信では印刷・郵送に加えデジタルでの配信や投票管理を一括で担っています。技術・運用側では取引の前後処理、固定収益の決済・保管、資産運用向けのポートフォリオ管理やコンプライアンス、さらには助言者向けのデジタル販促ツールなどをクラウド型の定期サービスとして提供し、効率化とデータ活用で顧客の業務を支援しています。

経営方針

ブロードリッジは安定的な「繰り返し収益(リカーリング収入)」の拡大を成長の中核に据えており、同社はリカーリング収入の年次成長を継続的に高め、収益性の改善を目指しています。2025会計年度においては、同社が用いる非GAAP指標である「リカーリング収益成長(為替の影響を除く)」が部門別に6〜8%の伸びを示しており、投資家向け指標では株式のポジション成長が16%、日次平均取引量の内部成長が13%といった具体的な運用状況が成長の裏付けになっています。営業面では税引前マージンが20.6%へと1.0ポイント改善したこともあり、同社は規模の経済を活かして持続的な利益率向上を図ることを目指しています。

重点投資分野として同社はガバナンス、資本市場、ウェルス&投資運用の三分野に集中投資しています。ガバナンス領域では大量の投資家コミュニケーションと株主議決のプラットフォームを強化し、データ駆動のファンドソリューションや開示・株主エンゲージメント機能を拡充しています。資本市場側では取引ライフサイクルを簡素化するクラウド型プラットフォームや流動性管理のための分散台帳サービス(DLR)に投資し、債券やトレーディング業務向けのAIツール(BondGPT、OpsGPTなど)で差別化を図っています。顧客との契約継続やネットワーク効果を重視するビジネスモデルにより、同社は単なる受託処理業者ではなく「顧客のコア運用を共用化してコスト削減と付加価値創出を両立するパートナー」を目指しています。

事業拡大の具体策としては、買収と連携を通じた地理的・サービス領域の拡張を進めています。直近では2024年11月にKyndrylのSecurities Industry Servicesを約1億8550万ドルで取得し、カナダでの資産運用・資本市場向けサービスを強化したほか、2024年5月にはAdvisorTargetを取得してアドバイザー向けのデジタルマーケティング機能を取り込みました。これらの施策により同社は現行クライアントへの深掘り(アップセル)と新規市場の獲得を同時に進め、世界の主要ディーラーやウェルスプロバイダーとの取引基盤を拡大する計画です。実績としては、同社は年間数十億件規模の投資家向け配信や日次で約15兆ドルの取引処理を支えており、このスケールを活かした新規サービス展開を狙っています。

技術革新については、同社はクラウド中心の運用基盤と高度なセキュリティ体制に継続投資しており、情報セキュリティ面ではISO 27001認証を維持しつつサイバーリスク管理を企業リスク管理に統合しています。開発面ではAIや分散台帳技術を活用したプロダクト開発を進め、SaaS型プラットフォームの機能強化や自動化による処理効率向上を図っています。また内部統制と財務報告の信頼性確保にも注力しており、管理体制の有効性について独立監査法人から無限定意見を得ている点も投資判断上の安心材料です。こうした技術と統制への投資を通じて、同社は顧客の運用コスト低減と業務の相互接続性向上を実現することを目指しています。