Broadstone Net Lease, Inc.BNL

時価総額
$34.6億
PER
単一テナントのネットリース型商業用不動産投資の有力企業。工業・小売中心の長期ネットリース物件を展開。2024年に26物件を約2.90億ドルで買収。2024年12月31日時点で765物件、米国44州・カナダ4州で展開。

事業内容

Broadstone Net Lease, Inc.は単一借主に長期の純賃貸契約で貸し出す工業用・小売用不動産を中心に保有・運用する不動産投資信託(REIT)です。同社は主に米国の倉庫や製造施設、単独店舗などを取得して長期の賃貸契約から安定した賃料収入を得ています。

主要な顧客は大手や地域の事業者で、店舗運営や物流・製造を行う法人が中心です。同社の収益は長期の賃料収入が主体で、賃借人が建物の維持費や税金など多くの費用を負担する契約形態のため、手取りの賃料が比較的安定します。

事業は主に工業用と小売用の二分野に分かれており、工業用では倉庫や流通、食品加工向けの施設、⼩売用では消費者が来店する単独店舗が中心です。同社は物件取得や建築請負型の開発、既存物件の資産管理を通じて保有資産を多様化し、約99%の入居率と平均残存契約期間およそ10年を維持して安定成長を目指しています。

経営方針

同社は安定的な収益拡大とバランスの取れた財務運営を両立させる成長を目指しています。成長の主軸は(1)既存ポートフォリオの契約賃料増(賃料契約の約97.4%に年平均約2.0%の増額条項がある)、(2)既存テナント向けの収益創出型投資、(3)建設引渡し型(ビルド・トゥ・スーツ)開発、(4)多様な取得案件の組み合わせです。ポートフォリオは765物件、約3,940万平方フィート、稼働率約99.1%で、残存平均契約期間は約10.2年と長期性が高く、財務面ではネット有利子負債を年間調整後EBITDAreの6.0倍未満に維持する方針を掲げています。

同社は投資分野を主に工業系(製造・物流・食品加工など)と小売系(フルフィルメント耐性の高い店舗やフランチャイズ中心)に絞り、テナントにとって「事業上不可欠」な立地や用途を優先して取得する差別化を図っています。これにより長期の単独テナント賃貸で安定した現金収入を確保しやすく、賃料増額条項やテナントの定期的な財務報告(賃料基準で約94.2%が報告義務あり)を通じて収益の見通しを明確化しています。投資利回りの目安として、直近の取得や開発案件では初年度キャッシュ・キャピタライゼーションが概ね7〜8%台で想定されている点も示されています。

新規市場や事業拡大については、オフマーケットの関係性やブローカー網を活用して良質な取得機会を取り込む戦略を取っています。2024年は26物件で約2.9億ドルの取得を実行し、同年の総投資額は約4.0億ドルに達しています。また、ビルド・トゥ・スーツ案件の契約総額は約2.3億ドルで、着工中のプロジェクトに対する残投資額や段階的な資金投入を通じて収益化を進める計画です。地域面では米国44州とカナダ4州に分散保有しており、特定テナントへの依存が生じないよう「単一テナントが継続してABRの5%超とならない」ポートフォリオ作りを目指しています。

技術革新面では、情報システムとサイバーセキュリティを経営上の重要課題と位置づけ、専任のチーム(約5名)と25年以上の経験を有する責任者を中心に体制を整えています。サイバーセキュリティ対応計画と社内外を交えた年次の訓練(テーブルトップ演習)を実施し、インシデント発生時にはクロスファンクションの対応チームが第三者専門家と連携して復旧と影響評価を行う仕組みを運用しています。これらは投資・賃貸管理、財務開示の信頼性維持にも直接寄与しており、過去3年間で事業に重大な影響を与えるサイバー事案は確認されていません。