FOREIGN TRADE BANK OF LATIN AMERICA, INC.BLX

時価総額
PER
貿易金融を主軸とする銀行の大手。サプライチェーン向け信用状やベンダーファイナンス、電子プラットフォームを展開。2024年末にESG枠組整備、2025年後半に貿易金融プラットフォーム開始予定。ラテンアメリカ中心に展開。

事業内容

FOREIGN TRADE BANK OF LATIN AMERICA, INC.はラテンアメリカ域内の貿易を中心に金融サービスを提供する銀行で、輸出入取引の短中期融資や信用状(レターオブクレジット)、保証といった貿易金融を主力にしています。地域内の取引価値連鎖に深く関与し、ブラジルの子会社や複数の代表事務所を通じて顧客に近いサービス提供を進めています。

同社の主要顧客は地域の金融機関、大手企業、国営機関や主権体で、収益は貸出による利息収入と信用状や保証、組成手数料などの手数料収入で成り立っています。経営は企業向け取引の拡大と顧客基盤の多様化で利ざや拡大を図る戦略を掲げています。

事業セグメントは、貿易金融(輸出入融資・信用状・保証)、法人向け運転資金やサプライチェーン向けのベンダーファイナンス、プロジェクトや買収の機会に対応するストラクチャードファイナンス、そしてトレジャリー業務とリスク管理に分かれています。現在はデジタルの取引プラットフォームやトレジャリーシステムの導入、人材強化で商品ラインを広げつつ、与信方針や国別リスク管理、ESG対応を取り入れて健全な成長を目指しています。

経営方針

同社は2022〜2026年の5か年戦略に基づき、事業基盤の強化と顧客基盤の拡大を目指しています。最適化フェーズを終えたことにより、戦略的市場で「顧客基盤を大幅に拡大」し、効率的な価格設定により貸出マージンを引き上げることを狙っています。特にトレードバリューチェーン上の法人顧客を増やすことでオリジネーション能力を高め、資本配分を最適化するとともに、与信リスクの分散によって潜在損失の影響を緩和する方針です。

同社はプロダクトの拡充を重点投資分野と位置づけています。具体的には、信用状(レター・オブ・クレジット)の顧客多様化、電子プラットフォームを用いたサプライチェーンファイナンス(ベンダーファイナンス)、ストラクチャリング・シンジケーション部門による案件型プロジェクトファイナンスや買収資金の提供、企業向けの買い手・売り手双方の運転資金ソリューション、そしてトレジャリー商品導入といった分野に投資を集中しています。差別化の源泉としては、ラテンアメリカ全域の市場知見、迅速な意思決定、顧客サービスの強化を掲げ、営業・顧客サービス体制を人員増・多様なスキル導入で強化しています。

同社は地域統合と貿易サプライチェーンに係る取引に参加することで新市場開拓を進めています。代表的な施策としては、二国間や共同融資案件への参加、短中期の貿易および非貿易ファイナンスの強化、国別の資本配分とリスクウェイト設定を通じた投資先の選別があります。ブラジルに子会社と代表事務所を置き、金融機関、企業、主権・公営機関といった長期的関係構築が見込める顧客を戦略的に獲得することで、既存ターゲット層を変えずに取引量と顧客数を増やすことを目指しています。

同社は技術革新にも積極的に取り組んでいます。取引処理のデジタル化では、トレードファイナンスプラットフォームを2025年下期にローンチ予定で、トレジャリー向けソフトウェアの第一フェーズは2026年中頃の展開を見込んでいます。これらにより信用状業務のオンライン化、取引処理能力の拡大、顧客向けのデジタルインターフェース改善を図ります。またサイバーセキュリティとAI活用についてはポリシー整備と次世代セキュリティ基盤の導入を進め、気候リスクやESGの評価枠組みを整備して特定の環境負荷の高い事業は融資対象外とするなど、持続可能性を踏まえた技術投資を進めています。