BlackRock Inc.BLK

時価総額
$1663.9億
PER
投資運用と資産管理、投資管理テクノロジーの最大手。ETFや投資管理プラットフォームを展開。運用資産は10兆ドル(2023年12月31日)でGIP買収を2024年Q3に予定。世界100カ国超、従業員約1.98万人で展開。

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事業内容

BlackRock, Inc.は世界最大級の資産運用会社で、機関投資家と個人投資家向けに投資運用と投資関連の技術・アドバイザリーサービスを中心に提供しています。主力はインデックス運用とアクティブ運用、上場投資信託(ETF)やプライベートマーケット向けの投資商品、そして投資管理プラットフォーム「Aladdin」をはじめとする技術サービスです。

同社の顧客は年金基金や慈善団体、中央銀行や政府系ファンド、保険会社、金融機関、販売会社や一般の個人投資家まで幅広く世界中に分布しています。収益は主に運用資産残高(AUM)に応じた運用管理手数料で成り立ち、加えてパフォーマンス手数料、有価証券貸出、ソフトウェアやアドバイザリーの利用料などが重要な収入源になっています。

同社の事業は大きく資産運用部門と投資管理技術・アドバイザリー部門に分かれ、資産運用では株式・債券・マルチアセットに加え、不動産やインフラ、プライベートクレジットなどの代替投資まで幅広い商品を取り扱っています。技術・サービス面ではAladdinを核にリスク管理やポートフォリオ構築の支援、富裕層向けプラットフォームやデジタル配信、ファンド組成や移行サービスなどで顧客の運用業務を支え、これらが成長の柱になっています。

経営方針

同社は長期的な株主価値の創出を成長戦略の中心に据えています。2023年末時点で運用資産総額(AUM)は約10.0兆ドル、同年の総収入は約178.6億ドルでした。同社は「差別化された有機的成長」を生み出し、規模の経済を活かして時間とともに営業利益率を向上させ、安定的に株主への資本還元を行うことを目指しています。具体策としては、配当の継続(2023年は四半期ごとに1株当たり5.00ドル、2024年1月に1株当たり5.10ドルを承認)や自社株買い(2023年に追加承認された7百万株を含め、合計約7.9百万株までの枠)を通じた資本還元を行っています。

同社は投資分野の重点としてインデックス/ETF、アクティブ運用、プライベート市場(プライベートクレジットやインフラ等)を挙げており、これらを横断的に提供する点で差別化を図っています。インデックスやETFの専門性を全社に横展開する組織再編を進めているほか、信用領域やプライベート投資を強化するために2023年8月にクレオス・キャピタルを約2.5億ドルで買収し、2024年1月にはインフラ運用会社GIPの買収(現金30億ドル+約1,200万株、約30%を後発発行の株式で支払う条件)を発表しました。これらの施策により、商品群の幅と差別化された調達・運用能力を拡充しています。

新市場開拓と事業拡大については、特にハード資産であるインフラ分野と私募クレジットの拡大を明確な狙いとしています。GIP買収は同社のインフラ・フランチャイズを一気に拡大する狙いで、買収資金のうち現金部分は追加借入(約30億ドル)で賄う計画です。加えて、地域面では世界30か国以上、100か国以上の顧客にサービスを提供するグローバルな販売ネットワークを活かし、顧客の資産配分の変化(ETFへの移行、私募市場への配分、固定収入への回帰など)を取り込む形でAUM拡大と収益多様化を図っています。ただし買収統合や規制対応などの実務的リスクを認識した上で、段階的に実行する方針です。

技術革新への取り組みでは、投資管理・リスク管理プラットフォーム「Aladdin」を核に、テクノロジー収益の拡大を目指しています。Aladdinは資産規模に応じた手数料や固定ライセンス料で収益化されており、同社はAladdin WealthやeFrontなどの関連ソリューションへの投資も継続しています。さらにフィンテック企業への戦略的少数投資を通じて配布網やデータ分析機能を強化し、顧客の運用・リスク管理ニーズに応えることで新規契約獲得と既存顧客の囲い込みを図っています。同社はこうした技術力を新規事業や運用効率改善の重要な差別化要因と位置づけています。