BankUnited, Inc.BKU

時価総額
$30.2億
PER
商業貸出と預金を主軸とする地域商業銀行の最大手。商業融資、トレジャリーサービス、オンライン預金チャネル、モーゲージウェアハウス貸出を展開する銀行。2024年12月31日時点で総資産352億ドル。フロリダ州、ニューヨーク三州、テキサス(ダラス)とアトランタ。

事業内容

BankUnited, Inc.は、米国南東部とニューヨーク大都市圏を中心に商業銀行業務を手がける銀行持株会社です。同社は法人向けの貸出を主力とし、預金口座や資金管理、決済といった銀行サービスをデジタルチャネルと支店網を通じて提供しています。

主要な顧客は小規模企業から中堅・大手の法人、非営利団体まで幅広く、個人の預金者も基盤になっています。収益は主に貸出からの利息収入が中心で、トレジャリーや決済サービス等の手数料収入と、預金を資金源とする利ざやで構成されています。

事業の柱は商業・産業向け融資、商業用不動産ローン、モーゲージ倉庫貸出や全国規模の一部貸出買入プログラムなどです。子会社のPinnacleは自治体向け金融を担い、Bridgeは設備・フランチャイズ向け金融を扱いますが同社は最近これを縮小しており、預金面では当座・普通預金やマネーマーケット、定期預金、CDARS等の保険付き商品とオンライン預金を組み合わせて資金調達と顧客サービスを行っています。

経営方針

同社は地域をリードする商業・中小企業向け銀行を目指しています。総資産は2024年末で約352億ドル、2024年の当期純利益は約2.32億ドル(1株当たり利益3.10ドル)と、まずは既存顧客との「両サイド(預金と貸出)の関係」を深めることを成長の軸に据えています。具体的には、コア預金比率の改善を重視し、非金利型の需要預金(NIDDA)比率を高めることと、高コストの短期借入(ホールセール資金)の返済を進めることで資金調達の質を向上させることを目指しています。また、資本・流動性の堅持を明記しており、2024年の1株当たり有形簿価は約36.61ドル、年間配当は合計で約1.16ドル(四半期ごと0.29ドル)といった財務面の安定性も重視しています。

同社は投資の重点分野として、関係構築型の商業・中小企業融資や、手数料収入が見込める決済・資金管理サービス、そしてコア預金の獲得に力を入れています。商品面では、店舗やオンライン経由での普通預金・当座預金だけでなく、顧客の預金を保護する仕組み(預金スイープ等)や法人口座向けのトレジャリー機能を強化しています。貸出面では、低利回りの住宅ローンが償却・返済されるにつれ、高利回りの商業・産業向け(C&I)や商業不動産(CRE)ローンへの比率を高める方針で、逆に流動性や収益性の見直しが必要なブリッジや一部の提携ポートフォリオは段階的に縮小する方針です。人材・組織への投資も明確で、株式報酬等を含む従業員関連コストは2024年に約3,110万ドル計上しており、営業力とリスク管理の両面に資源を振り向けています。

新規市場開拓と事業拡大では、フロリダおよびニューヨーク大都市圏を中核に置きつつ、近年はアトランタとダラスにも進出しており、店舗網と全国対応のホールセール(例:モーゲージ・ウェアハウスや公共金融)を組み合わせて成長を図っています。店舗数は2024年末で55拠点を有し、地方自治体向けの資金調達やモーゲージ・ウェアハウスなど国レベルの業務は引き続き全国展開を目指します。M&Aは主要戦略ではなく有機的成長が基本ですが、魅力的な機会があれば選択的に検討する姿勢を示しています。

技術革新については、同社は「機敏な技術基盤」とデジタル対応を優先投資分野に位置づけています。消費者向けの預金獲得はオンラインチャネルで行い、法人向けは決済や資金管理のデジタル化で差別化を図っています。サイバーセキュリティ体制では最高情報セキュリティ責任者(CISO)らを含むチームが対応状況の評価と報告を担い、社員教育にも注力していることから、2024年は382名が研修を完了し、メンタープログラムには280名が参加するなど人材育成と技術基盤の両輪で顧客体験と運営効率の向上を図っています。さらに、投資証券の短期化(保有期間平均約1.85年)で金利変動リスクに柔軟に対応するなど、技術・ALM(資産負債管理)面の整備も進めています。