Bilibili Inc.BILI

時価総額
PER
動画コミュニティを核としたオンラインエンタメ事業の大手。短尺・長尺動画、ライブ配信、ACG関連物販、モバイルゲームの課金サービスを展開。2018年10月に主要投資家が追加出資、2022年2月にゲーム会社を人民元8億元で買収。中国市場を中心に展開。

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企業概況
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業績概況
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同業種の日本企業
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事業内容

Bilibili Inc.は中国を拠点とするオンラインエンターテインメント企業で、主に若年層向けの動画共有・コミュニティプラットフォームを運営している。同社はアニメ・コミック・ゲーム(ACG)に強いコンテンツ基盤を持ち、投稿型の動画やライブ配信、短中長尺の映像コンテンツが活発に行われる場を提供している。加えてモバイルゲームの配信や自社制作コンテンツ、リアルイベントや関連グッズの販売も行っている。

主要な顧客は主にZ世代を中心としたアクティブなユーザーと、プラットフォームで活動するクリエイターやゲーム開発者、広告主である。同社の収益は広告収入、ライブ配信のバーチャルギフトや有料会員などのユーザー課金、モバイルゲームの課金収入(デベロッパーとの分配)、そしてグッズ販売やイベント収入といった複数の柱から成り立っている。大手ゲーム企業やコンテンツ権利者との協業がマネタイズを後押ししている。

事業は大きく動画コミュニティ、ライブ配信、ゲーム事業、コマース・版権関連の四分野に分かれる。動画コミュニティではユーザー生成コンテンツと公式コンテンツを両輪で育て、ライブ配信ではコメント文化と投げ銭型の収益モデルを重視している。ゲーム事業は自社開発と配信・共同運営を組み合わせ、コマースはACG関連の物販やチケット販売でファンの消費を取り込んでいる。

経営方針

同社はコミュニティを核にした「ユーザー規模の拡大」と「一人当たり収益(ARPU)の向上」を両輪に成長を目指しています。特にモバイル利用の加速を踏まえ、モバイルからの売上を大幅に伸ばすことを重視しており、利益還元や資本効率の改善策として、2024年11月にADSおよびClass Z株の自社株買い枠として最大2億米ドルを承認しました(2024年12月には839,167株を平均19.49米ドルで買い戻し)。配当は当面見込まず内部留保と成長投資に充てる方針で、従業員向けの株式報酬も積極活用して人材の定着とインセンティブを図っており、2024年末時点で未認識の株式報酬費用は約28.29億人民元(約3.88億米ドル)にのぼります。

同社はコンテンツ獲得とクリエイター育成、ゲームやライブ配信、グッズ販売などマネタイズ領域への重点投資を通じて差別化を図っています。アニメやゲームの版権取得・共同制作では外部パートナーとの協業を進め、2018年にはテンセントとの戦略的協業を拡大して版権やゲーム運営で協力しています。また自社のゲーム開発力強化のため、2022年2月にゲーム会社を現金8億元(約8億人民元)で買収するなど、コンテンツ内製化にも投資しています。プラットフォームの特色としては短尺・中長尺動画、ユーザー生成編集(PUGV)、ライブなど複数フォーマットを一体化して提供する点で、若年層(Generation Z+)に高いエンゲージメントを持つコミュニティが差別化要因です。

同社は海外展開と事業領域の拡大を積極的に進めています。モバイルゲームの配信や共同運営を通じて国外市場にも展開しており、上場面でも米国(ADS)と香港(Class Z株)の二重上場により資本市場の多様化を図っています。オフラインイベントやグッズ販売、eコマース連携を通じてオフライン収益も拡大しており、将来的には海外版権獲得やローカライズを通じた収益源の多様化を目指しています。M&Aや投資による外形拡大は継続方針ですが、2024年には投資の価値変動に伴い4.865億元の投資減損を計上しており、買収・投資の選別と事後統合も重視しています。

同社は技術基盤の強化を成長の基盤と位置づけ、プロダクトと技術部門に重点投資しています。2024年末時点で従業員約8,088人のうちプロダクトと技術に3,632人、コンテンツ審査に2,247人を配置しており、レコメンド改善や配信基盤の安定化、決済とサーバー運用など収益に直結する技術面に注力しています。サイバーセキュリティや内部統制にも投資を続けており、2024年末時点で同社は内部統制の有効性を維持していると結論付けています。技術と人材への継続的投資により、コンテンツの発見性向上とプラットフォームの信頼性向上を図り、長期的な収益成長を追求しています。