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B&G Foods, Inc.BGS
事業内容
B&G Foods, Inc.は多様な家庭用食品ブランドを保有し、常温保存の食品や冷凍野菜、調味料、ベーキング用品などを製造・販売・流通させています。代表的なブランドにはCriscoやClabber Girlなどがあり、調味料やシーズニングは自社ブランドのほかライセンス供給した商品も展開しています。
同社の主要な顧客は大手小売業で、上位10社が約62.7%の売上を占め、単独ではWalmartが約30.3%を占めています。販路は小売中心のブランド販売に加え、業務用・フードサービス向けやプライベートブランドの受託製造も含み、国外売上は概ね約9%で主にカナダ向けです。
事業はSpecialty、Meals、Frozen & Vegetables、Spices & Flavor Solutionsの4つのセグメントで管理しており、冷凍・常温それぞれに専用の流通網を持っています。加えて同社は他社ブランドのシーズニングをライセンスで供給したり、Green Giantの商標を第三者にライセンスするなど知的財産を活用した収益化も行っています。
成長戦略は既存ブランドの強化と買収によるライン拡大が柱で、これまでに多数のブランドを統合してきました。原材料価格や輸送費の変動によりコスト圧力を受けやすく、価格改定やコスト削減で収益を維持する必要があります。
経営方針
同社は売上高、収益性、キャッシュフローの向上を中心に成長を図っています。具体的には、買収によるポートフォリオ拡充と自社での新製品開発、既存事業の有機的成長を組み合わせる戦略を採っています。これまでに1996年以降で50を超えるブランドや事業を統合してきた実績があり、直近の通期では連結売上高が約19.3億ドル、調整後EBITDAが約3.92億ドルとなっています。一方で財務面ではレバレッジが大きく、社債・与信契約上の条件として「金利負担を考慮した利払い余力(利息カバレッジ)を少なくとも1.75倍以上」「純負債/EBITDAを7.0倍以下に維持」といった制約があるため、配当や資本政策はこれらの数値を勘案して慎重に行われています。
重点投資分野としては、付加価値の高いブランド強化と製造・流通能力の充実を掲げています。差別化は地域やカテゴリで強いブランドポートフォリオと、ライセンスを活用した共同ブランド商品によって図っており(例:WeberやSkinnygirlとのライセンス)、また自社製造能力の強化を目的に2022年に冷凍野菜の製造拠点(ヤマ緯度の買収)を取得するなどメーカー機能の内製化にも投資しています。販売面では小売、食品サービス、プライベートブランドといった複数チャネルを活用することで流通の幅を広げ、値上げだけでなくトレード支出の最適化でコスト上昇に対応する方針です。2024年には組織と報告区分を「Specialty」「Meals」「Frozen & Vegetables」「Spices & Flavor Solutions」の4セグメントに再編し、運営の焦点を絞っています。
新市場開拓や事業の見直しでは、選択と集中を進める姿勢が鮮明です。成長性の低い資産は段階的に売却して負債削減と収益性改善を図っており、2023年にはBack to Nature事業の売却(1月)やGreen Giant米国の缶詰事業の売却(11月)を実行しました。逆に成長分野には戦略的に買収を行い、冷凍・スパイス系などの製造能力と商品ラインを拡充する計画を継続しています。海外販売は主にカナダ中心で2024年は海外売上が約9.1%を占めており、ライセンスや共同展開を通じた地理的拡大も重要なチャネルと位置づけています。
技術革新への取り組みでは、製品開発の迅速化や供給網の効率化を目的に情報システムの整備やデジタル施策へ投資しています。買収後の統合作業で基幹システム(ERP)を整備し、データによる需要予測や流通最適化を進める計画です。また人工知能など新技術の導入を検討しているものの、品質管理やサイバーセキュリティ、倫理面のリスク管理も並行して強化する方針です。経営陣の報酬は業績連動の長期インセンティブ(通常は3年の業績目標)と結びついており、これらの投資と施策が実行力のある成長につながるよう経営の整合性を図っています。