BROWN FORMAN CORPBF-B

時価総額
PER
プレミアムスピリッツの大手。Woodford Reserveなどスーパープレミアムブランドを展開。22年11月Gin Mare買収、23年1月Diplomático買収、23年11月Finlandia売却。米国が最大市場(2025年4月期売上比率44%)で45カ国以上に展開。

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企業概況
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業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
3項目)
ライバル企業
4社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

BROWN FORMAN CORPは、世界各地でプレミアムスピリッツや関連飲料の製造・販売を行う企業で、代表的なブランドにジャックダニエル、ウッドフォードリザーブ、オールドフォレスターなどのウイスキーや、ヘラドゥーラやエル・ヒマドールのテキーラ、ギン・マーレのジン、ディプロマティコのラムがあります。ブランド育成と熟成を重視し、グローバルにマーケティングと商品開発を進めています。

同社は主に小売店や卸売業者、州政府(米国の一部州)を通じて販売し、トラベルリテールやeコマースも重要な販売チャネルになっています。地理的には米国が最大の市場であり(約44%)、上位顧客の依存度は限定的で、年末のホリデー期に売上が集中する季節性があります。

同社の製品ラインはウイスキー、テキーラ、ジン、ラム、RTD(プレミックス飲料)など幅広く、スーパープレミアム領域への投資を強めています。流通戦略は市場ごとに所有流通、パートナー配給、政府管理の三モデルを使い分けており、近年は欧州を中心に自社流通を拡大して直接顧客接点を強化しています。

経営方針

ブラウン=フォーマンは長期的なブランド成長と安定した株主還元を重視した経営を行っており、短期的には財務見通しで2026会計年度にオーガニックの売上高および営業利益が「低位の一桁台減少」を見込んでいます。同社は設備投資を引き続き実行しており、2026会計年度の資本支出は約1億2,500万〜1億3,500万ドルを計画しています。強固なキャッシュ創出力と投資適格格付け(ムーディーズA1、S&P A-)を背景に、定期配当や自社株買いなど株主還元を継続するとともに、事業再編による費用構造の改善にも取り組んでいます(2025年1月に発表したリストラクチャリング計画など)。

重点投資分野は「プレミアム化」と「ブランド強化」にあります。同社はウッドフォード・リザーブが年間約180万ケース(9リットル換算)を販売するなど、バーボンやスーパープレミアム酒の拡大に注力しており、テキーラ(Herradura、el Jimador)、スコッチ(The Glendronach 等)、ジン(Gin Mare買収:買収対価約5.23億ドル)やラム(Diplomático買収:買収対価約7.23億ドル)といった高成長カテゴリーへの投資で差別化を図っています。広告費や販売管理費は2025会計年度にそれぞれ約8%、10%減少しており、効率化と選択的なマーケティング投資で収益性を高める施策を進めています。

海外展開と流通戦略では、所有流通(owned distribution)を成長の柱と位置づけ、欧州など主要市場での直接販売網を拡大しています。同社はこれまでに17の流通会社を通じて18カ国で所有流通を運営しており、2025年5月にはイタリアで新たに所有流通組織を立ち上げました。また、ジャックダニエルズとコカ・コーラによるRTD(既製カクテル)で25以上の市場に参入するなどチャネル多様化を進めています。所有流通への移行は顧客接点強化とマージン向上を狙う一方で、移行期間の業務リスクや在庫・販売の一時的な混乱を伴うため、その実行管理が鍵になります。

技術革新とデジタル化では、消費者接点の強化とリスク管理の両面で投資を拡大しています。同社は消費者との接点を増やすためにデジタル・コマースと分析機能を強化しており、同時にサイバーセキュリティ対策として「すべての利用者や端末の継続的な認証」を行うゼロトラスト原則へ段階的に移行し、セキュリティ運用センターや検出・対応ツール(エンドポイント検知・対応やログ管理)を整備しています。これらはブランド投資やサプライチェーンへの設備投資と合わせて、持続的な成長と事業継続性を支える基盤構築を目的としています。