- 米国企業
- Bloom Energy Corp
Bloom Energy CorpBE
事業内容
Bloom Energy Corpは、定置型の燃料電池を中核とした発電システムと電解槽の設計・製造・販売を行っています。同社の主力製品は電気をつくるEnergy Serverと水素を生産するElectrolyzerで、世界9か国・1,000超の拠点に約1.4ギガワット分を導入し、企業や重要インフラ向けに安定的で低炭素の分散型電源を提供しています。
顧客はデータセンター、製造業、商業施設、公益事業など多岐にわたり、主に直接販売で取引しています。同社は製品販売に加え、運転・保守契約や電力購入契約(PPA)、リース、容量契約、マネージドサービスなど複数のファイナンス手法で収益を獲得し、必要に応じて第三者資金を組み入れたポートフォリオ販売も行っています。売上は設置のタイミングや許認可、顧客の資金手配で変動し、2024年は上位顧客への依存が見られました。
事業はハードウェアの製造・販売、運用保守(O&M)、リモート監視、補修・再生(R&O)、および水素関連の開発に分かれます。同社は米国とインドに24時間体制のリモート監視センターを置き、世界各地の設備を182人のフィールドサービス要員とデラウェアの補修施設で維持管理しています。製造拠点の拡充とサプライヤーとの協業で量産効果とコスト低減を進め、ユーティリティや戦略的パートナーとの提携で市場拡大を図っています。
経営方針
同社は既に約1.4ギガワットのEnergy Serverを1,000カ所以上、9カ国で導入しており、この実績を土台に「数ギガワット級」の事業拡大を目指しています。成長の鍵は設置容量の拡大と同時に顧客向けの資金調達スキームを整備することにあり、電力購入契約(PPA)やリース、マネージドサービスなど複数の販売・調達手段を通じて導入障壁を下げる戦略です。なお、米国では税制上の優遇措置を活用する施策を重視してきましたが、投資税額控除(ITC)や加速償却の一部は2024年末時点で失効しており、同社はこれに対応した販売・資金調達の最適化を図っています。
重点投資は製造能力、サービス体制、そしてパートナーシップにあります。製造面ではフリーモントの多ギガワット級工場に約2億ドルを投じており、供給の安定化と単位コスト低減を狙っています。サービス面では世界中の設置機器を自社で保守する体制を取り、182名のフィールドサービス要員と米国・インドに置く2つの遠隔監視センターで24時間体制の運用を実現、装置ごとに500以上の運転パラメータを監視して予防保守を行うことで差別化を図っています。さらに、SK ecoplantからの出資や国際ジョイントベンチャーによる組立拠点整備などで販売チャネルと供給網を強化しています(SKからの出資は合計で約5.66億ドル)。
新市場開拓では、水素市場への進出を重要な柱としています。同社はBloom Electrolyzerでの水素製造に注力し、米国と韓国に設けた水素イノベーションセンターやSKとの協業を通じて商用化を加速しています。地域展開では韓国JVの組立能力をフル化するなど現地生産を拡大し、データセンターや重要インフラ向けの「時間価値の高い電力(time‑to‑power)」ニーズに応えることで新規大型案件の獲得を狙っています。また、ユーティリティや戦略的パートナーとの協働で販売のリーチを広げる計画です。
技術革新への取り組みとしては、既存の燃料電池プラットフォームの効率向上と長寿命化、燃料柔軟性の追求、そして電解器の効率改善を同時に進めています。製品には遠隔制御と独自ソフトウェアでの自動最適化・予測解析を組み込み、メンテナンス負荷とダウンタイムを低減して顧客総保有コストを引き下げる方針です。加えて返却品の再生拠点でのリファービッシュ(復元)を短期間で行う仕組みを整え、資産の循環利用とコスト効率の向上を図っています。