BALCHEM CORPBCPC

時価総額
$51.2億
PER
特殊成分・機能性原料の開発・製造・販売の大手。ヒューマン・アニマル向けのコリン、アミノ酸キレート、ビタミンK2やMSMブランドを展開。2022年6月、2022年8月の買収で事業拡大。米国拠点で欧州・アジアを含む世界38拠点で展開。

事業内容

BALCHEM CORPは、栄養や産業用途向けの特殊な機能性成分と製品を開発・製造・販売している企業です。主力はヒト用の栄養成分(コリンやミネラルのアミノ酸キレート、ビタミンK2、MSMなど)や、動物用の飼料向け成分、さらに医療機器の滅菌や植物栄養、ガス供給などの特殊製品です。

同社の主要顧客は食品・飲料メーカー、栄養補助食品や医薬メーカー、畜産向け飼料メーカー、医療・産業分野の企業など幅広く、売上は原材料や配合済み成分の販売が中心です。販売は自社営業チームに加え独立代理店や流通業者を通じて行い、買収で拡大したブランドや技術が収益拡大に寄与しています。

同社は事業を「Human Nutrition and Health」「Animal Nutrition and Health」「Specialty Products」の三つの報告セグメントで管理しており、それぞれに合わせた製品ラインを持っています。世界各地に製造・倉庫拠点を置き、研究開発投資と在庫管理で顧客注文に迅速に対応できる体制を整え、成長領域への製品投入を続けています。

経営方針

同社は売上高と利益率の継続的な向上を目指しています。直近の実績では、2024年の総売上高は約9.54億ドルで前年から3.4%増加し、営業利益は1.83億ドルと前年から14.9%の改善を達成しました。とりわけ人間栄養・保健(HNH)セグメントは6.00億ドルで9.0%の増収となっており、同社はこの高付加価値分野を成長の中核に据えて事業拡大を図っています。

同社が重点的に投資して差別化を図る分野は、科学的根拠に基づく素材(例:ビタミンK2やMSM)と吸収性に優れたミネラル製品などの高付加価値原料です。R&D投資は2024年に約1,679万ドルを計上しており、製品改良や製造プロセスの研究に資金を投入しています。加えて、2024年にはHNHの主要製品ラインの能力拡大や工程信頼性向上に向けて約1,720万ドルを含む設備投資を実施しており、これらの投資を通じて品質や機能面での優位性を維持しています。

新市場開拓と事業拡大は買収とグローバル展開を軸に進められています。2022年にビタミンK2のKappaを約3.0億ドル規模で、MSMのBergstromを約7,200万ドルで買収したことで製品ポートフォリオと地理的ネットワークを強化し、欧州や北米での販売基盤を広げました。世界に38拠点を有し、受注残は原則として翌年内に履行する方針で在庫を管理しているため、既存顧客への供給安定性を確保しつつ新規市場への投入を加速しています。

技術革新への取り組みとしては、製品開発の優先順位を市場ポテンシャルに基づいて決定する方針を採り、取得した技術や商標、開発済み技術への投資を継続しています。製造面では設備更新や工程改善を通じた生産性向上に注力し、情報面では基幹システムの導入やサイバー防御に自動化・人工知能を活用するなど運用基盤の強化も進めています。こうした研究開発費や設備投資を組み合わせることで、同社は差別化された素材を市場で拡大していくことを目指しています。