BOISE CASCADE CoBCC

時価総額
$25.7億
PER
エンジニアードウッド製品と建材流通の北米最大手。LVL、I-joist、合板など幅広いEWP製品と流通サービスを展開。2023年10月に競合を1.662億ドルで買収、2024年にドア・ミルワーク資産を810万ドルで取得。米国・カナダに38拠点の流通網で展開。

事業内容

Boise Cascade Coは、北米で主要なエンジニアード木材製品と合板のメーカーであり、米国で大手の建材卸売業者でもあります。同社は住宅や小規模商業施設の建設・改修向けに、ラミネートベニア梁(LVL)やI形ジョイスト、ラミネート梁、構造用合板などの木材製品を製造し、幅広い建材を流通させています。

主要な顧客は地場ディーラー、大手ホームセンター、専門流通業者、住宅建設業者、独立請負業者や一般の住宅所有者で、売上は製造と流通が組み合わさった構造になっています。同社は自社製造品を自社の流通ネットワークに供給する一方で、第三者メーカーからも商品を調達し、倉庫経由の配送とメーカー直送の両チャネルで販売しています。

事業は大きく木材製造部門と建材流通部門の二つに分かれており、木材製造部門がEWP(エンジニアードウッド製品)や合板、林産物を生産し、建材流通部門が全米に展開する拠点でOSB、合板、外装材、ドア・造作材、断熱材など幅広い品目を販売しています。同社は特注調達やマーチャンダイジング支援、地域に根ざした営業体制と効率的な物流でワンストップ供給を目指し、製品ラインの拡充と流通効率で収益の安定化を図っています。

経営方針

Boise Cascadeは、EWP(構造用合板を含む付加価値木材製品)の販売拡大と流通ネットワークの強化によって「収益の拡大と収益の安定化」を目指しています。具体的には、内部で生産するベニヤをより多くEWPに回す方針で、同社はEWPが高マージンで価格変動が小さい点を重視しています。2024年時点でWood ProductsのEWP販売の約75%が自社の流通部門(BMD)向けであり、パイロット的な統合効果を確認していること、また2024年第4四半期に280,750株を3,640万ドルで自社株買いした点や取締役会が追加で140万株の買戻しを承認した点は、株主還元と財務効率の向上も重視していることを示しています(時価総額は2024年6月28日時点で約46億ドル)。

重点投資分野はベニヤを用いたEWPの生産能力強化と建材流通の高付加価値化です。同社はLVL(単板積層材)やIジョイスト、ラミネートビームといったEWPに注力し、競合のコモディティ製品(OSBなど)と差別化しています。供給の確保と生産能力拡大のために、2022年にCoastal Plywood(フロリダとアラバマの工場)を取得し、2023年には扉・造作材専門のBrockway‑Smith(BROSCO)を約1億6620万ドルで買収、さらに2024年にもボイジ(アイダホ)とレイクランド(フロリダ)の扉・造作資産を約810万ドルで取得しています。これらは、製造と流通を一体化して両段階でマージンを獲得する戦略の具体的施策です。

新市場開拓と事業拡大では、BMDを通じた地理的拡大と製品ライン拡充を進めています。同社は未供給地域への新規拠点開設や買収による市場浸透を掲げており、直近ではダラス、ヒューストン、カンザスシティ、デンバーなどに扉・造作材事業を広げています。さらに流通能力の強化として、テキサス州ホンド(2025年完成予定)とサウスカロライナ州ウォルターボロ(2026年完成予定)でグリーンフィールドの配送センターを建設中で、2023〜2024年も複数拠点での容量拡張や移転(ウェストパームビーチ、マリオン、メドフォード、モデストへの移転等)を実施しています。これらは自社製品の販売チャネルを広げ、地域ごとの供給安定化と付加価値販売の拡大を目的としています。

技術革新への取り組みとして、同社は基幹系システム(ERP)、クラウド、外部のセキュリティ運用センター(SOC)による24時間監視、インシデント対応チームとデータ侵害対応体制の整備などを進め、四半期ごとの演習で計画の実効性を検証しています。同社はAIを含むデジタル技術を「収益創出・コスト削減・リスク低減」に活用することを目指しており、配送の中央管理や倉庫ごとのシステム連携によって物流効率を高める取り組みも行っています。一方で、システム更新や導入が遅延・失敗した場合の業務中断リスクも明記しており、技術投資の実行と統制を重視しています。