BALL CorpBALL

時価総額
$132.9億
PER
アルミ包装の世界最大手。飲料缶や押出しエアゾール容器、再封可能アルミボトルなどを展開。2024年連結売上高は118億ドル、航空宇宙事業をBAEに56億ドルで売却(2024年2月16日)。米州・欧州・中東・南米で展開。

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企業概況
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同業種の日本企業
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事業内容

Ball Corporation は、飲料やパーソナルケア、家庭用品向けのアルミ包装を世界的に供給する大手企業です。同社は主力のアルミ製飲料容器を中心に、押出成形のエアロゾール容器や再封可能なアルミボトル、アルミスラグやアルミカップなど多様な容器を製造しています。2024年に航空宇宙事業を売却し、包装事業に経営資源を集中しています。

同社は大手多国籍の飲料メーカーや消費財メーカーを主要顧客として長期供給契約を結び、高い顧客維持率で安定した売上を確保しています。原材料のアルミ価格変動は多くの契約で価格転嫁の仕組みを用いて対応し、収益は大口顧客向けの量販に依存する構造です。

事業構成は地域別の飲料包装セグメント(北中米、欧州・中東・アフリカ、南米)と、パーソナル&ホームケア向けの押出成形品などの製品ラインで成り立っています。同社は循環型のアルミ包装を通じた持続可能性を掲げつつ、必要に応じて買収や資産売却で事業ポートフォリオを調整しています。

経営方針

同社は長期的に「1株当たり希薄化後利益(Comparable diluted EPS)を年率10%超で成長させる」ことを財務目標に掲げています。収益は主にアルミ包装事業からのもので、2024年の連結売上高は約118億ドルでした。キャッシュ創出力を最大化し、経済付加価値(EVA)を高めることを重視しており、株主還元にも積極的で、2025年は設備投資を約6億ドル見込み、配当として約2.2億ドルを還元する計画を示しています。さらに取締役会は2025年1月29日に自社株買い枠として最大40億ドルの承認を行っており、余剰資金は買戻しや収益基準を満たす買収に充てる方針です。

同社は重点投資分野として生産設備の強化とサステナビリティに注力しています。2025年の資本支出レンジ約6億ドルは工場の能力増強や自動化、品質改善に向けた投資を主に想定しており、再利用とリサイクルを前提にした「循環型アルミ包装」によって差別化を図っています。顧客との長期供給契約や大口取引先への高い定着率も競争優位で、原料アルミニウムの価格変動については多くの契約で価格転嫁条項を設け、必要に応じてデリバティブでヘッジして利益への影響を抑えています。

同社は事業ポートフォリオの最適化で成長市場に資源を振り向けています。2024年2月に航空宇宙事業を売却して主力を飲料向け包装に絞り、欧州・中東・アフリカ、北中米、南米の三地域セグメントに再編しました。加えて2024年10月にベルギー・スペインを拠点とするAlucan Entecを約8200万ユーロで買収し(初回約8000万ドル支払)、2025年2月にはフロリダの缶メーカーを1.6億ドルで取得するなど、地域供給網と製品ラインの拡張を進めています。一方で伸び悩むアルミカップ事業には2024年に2.33億ドルの減損を計上し、2025年前半に戦略的パートナーシップを通じて持分を手放す計画を進めるなど、採算回復が難しい事業は整理しています。

同社は技術革新と運営効率の向上にも取り組んでいます。製造現場では「ベストインクラス」の工場と製品ポートフォリオ(押し出し成形のエアゾール容器、再閉可能なアルミボトルなど)を武器に、材料効率とリサイクル性を高める技術開発を進めています。さらに為替や金利のリスク管理、ユーロ建て事業への純投資ヘッジなど金融面の整備も行い、原材料高や為替変動が業績に与える影響を抑えつつ、新製品・新市場への投資を継続していく方針です。