Booz Allen Hamilton Holding CorpBAH

時価総額
$99.2億
PER
政府・防衛向け先端技術とサイバー事業の最大手。AI、量子、宇宙関連を活用したミッション向けソリューションを展開。2022年10月に防衛系同業を約4.45億ドルで買収、2024年6月に戦術通信分野企業を約9900万ドルで買収。米国中心に選定国際拠点で展開。

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企業概況
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業績概況
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同業種の日本企業
3社)

事業内容

Booz Allen Hamilton Holding Corpは、政府機関や企業向けに高度な技術コンサルティングとシステム開発を行う企業です。同社は人工知能やサイバーセキュリティを軸に、ミッションに特化したソフトウェア開発やデータ解析、運用支援といったサービスを提供しています。

同社の主要顧客は米国連邦政府で、国防省や情報機関、行政部門が中心となっています。売上の大半は政府向けの長期契約やタスクオーダーから生まれており、2025会計年度は防衛向けが約49%を占め、約85%がIDIQと呼ばれる枠契約に基づく仕事からの収益でした。

同社は事業を人工知能、サイバー、デジタル変革、宇宙、量子技術などの領域に分け、技術者とミッション専門家を組み合わせたチームで案件を推進しています。単一の損益管理と協働モデルで人材を横断的に配置し、スカウティングや提携、ベンチャー投資を通じて商用技術を政府ミッションへ適用する取り組みを行っています。

経営方針

同社の中長期の成長戦略は「VoLT(Velocity, Leadership, Technology)」を軸にしています。具体的には、2030年までに「米国政府の主要なミッションパートナー」としての地位を確立することを目指しており、イノベーションへの再投資やM&A、ベンチャー投資、パートナーシップを組み合わせて質の高い成長を実現しようとしています。資本配分でも自己株買いと配当で株主還元を進めており、買戻し枠は3,585百万ドル(2025年1月改定)で、2025年度には764百万ドルを買い戻しています。また、2025年度の定常配当は合計で約268百万ドル、2025年5月には四半期配当0.55ドルを発表しました。受注面ではIDIQ型の契約から約85%の収益を得ており、新規案件と再競争案件の獲得率はそれぞれ56%と92%(2025年度)と高水準を維持しています。

投資の重点分野は、人工知能(AI)、サイバーセキュリティ、クラウドを含むシステム近代化、宇宙関連、量子技術などです。これらの領域での差別化は、単なる技術提供ではなく「政府ミッションに適合した安全な仕組み」を作る点にあります。たとえば同社は政府向けに用途別にカスタマイズした安全性重視のAIや、インテリジェンスグレードのサイバー運用を提供しており、2025年度の収益の約49%(5.9十億ドル)は防衛分野から得ています。さらに同社は全社を一つの損益計算単位として運営し、単一の賞与プールで横断的に人材を投入することで、複数部門をまたいだ迅速なチーム編成とノウハウ共有を実現している点も差別化要因です。

新市場や事業拡大については、従来の連邦政府顧客に加え、金融、医療・ライフサイエンス、エネルギー、テクノロジーなど民間分野へのサイバーやAIトレードクラフトの横展開を進めています。選択的な国際展開も行い、外部成長ではEverWatch社買収(約445百万ドル、2022年)やPAR Government Systems社買収(約99百万ドル、2024年)のような案件で能力や顧客基盤を補強してきました。同社は有望分野でのスピード重視の拡大を掲げ、オーガニックな技術開発とM&A・ジョイントベンチャーを組み合わせることで市場シェア拡大を狙っています。

技術革新への取り組みは、研究開発投資、外部パートナーとの協業、ベンチャー投資による技術獲得を柱としています。シリコンバレーのスタートアップや主要テック企業、国防・宇宙機関(ペンタゴンやNASA)と連携して技術を実務に適用する「スカウティングと共創」の仕組みを持ち、量子情報科学の全領域(量子計算、量子センサー、量子通信、ポスト量子暗号)や、政府向けにチューニングしたセキュアなAIソリューションの実装を進めています。加えて、優秀な人材確保と社員へのインセンティブ設計を通じて技術力を社内で継続的に高める取り組みも行っており、同社はこれらにより「技術でミッションを変える」ことを目指しています。